昨秋、東京国立博物館(以下、東博と略記)で開催された特別展「京都・南山城の仏像」で拝観叶った仏像を取り上げるシリーズ。
区切りの10回目にして、ラス前となる今回は、神童寺の不動明王立像を取り上げる。

※写真は全て現地で購って来た図録より

天台宗の高僧・智証大師円珍(814~891)が感得したとされる、いわゆる《黄不動》を造形化したタイプの不動明王像で、たとえば鎌倉期の慶派の、スマートでかっこいい不動明王像とは全く異なるルックスだ。

しかし、カッコよくはないのだが、インパクト絶大な白く塗られた体(制作時は肉色=薄い赤色だったと見られているようだ)をはじめ、ワイルドでプリミティブなルックスは、これはこれで魅力的だと思うのだ。

 

【拝観の記録】
木造不動明王立像/重文/京都・神童寺蔵
平安時代・十二世紀/像高=162.1㎝/木造・彩色
拝観日:2023年10月5日
於:東博「浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念特別展 京都・南山城の仏像」