随分遅くなりましたが、、あけましておめでとうございます。
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挨拶もそこそこに、、

昨年から引き続き、昨秋東京国立博物館(以下、東博と略記)で開催された特別展「京都・南山城の仏像」で拝観した仏像をピックアップするシリーズ。
今回は、禅定寺伝来の巨大な十一面観音立像を取り上げる。

※写真は全て現地で購入して来た図録より

像高3mに迫る巨像である。
腕の太さや長さ、顔の大きさなど、全体のバランスは、像の前面に普通に立った状態で正対して見ると、崩れて見える。
しかし、通常仏像が堂宇に安置されている状態を拝む時のように、像の前で正座して、下から見上げるようにすると、整って見えるよう、パースが計算されて造られているのではないか? そう思われるバランスだった。
また、逞しい腕に比して、小ぶりな掌の指先の微妙な表情が素敵だと思った。
特に右手の中指と薬指の折り方にグッときた。

長徳元(995)年創建とされる禅定寺の、創建当初からの本尊と考えられるていると云う。
奈良時代の天平彫刻に通じる表現を残しながら、十一世紀半ばに完成を見る和様彫刻への歩みも感じられる作例ということだ。

 

【拝観の記録】
木造十一面観音菩薩立像/重文/京都・禅定寺蔵
平安時代・10世紀/像高=286.3㎝/木造・漆箔
拝観日:2023年10月5日
於:東博「浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念特別展 京都・南山城の仏像」