半年以上も更新をさぼってしまったが、また再開しようと思うm(__)m
今回取り上げるのは、運慶作の大威徳明王坐像である。
実際に拝観したのはもう1年近くも前(2022年10月27日)のことになってしまったが。。

※以下、写真は全て、以前金沢文庫で購入したポストカードより。

この像を拝観したのは今回が初めてではなかったが、この時の印象としてまず持ったのは、「こんなに小さかったっけ?」ということ。
小さいのは承知しているつもりだったが、記憶にあったものより一回り小さいという印象だった(現存の像高は21.1㎝)。

しかし、運慶の真作と知って見ているのもあるかもだが、その迫力や存在感は半端ない! と。

本像は、平成10(1998)年に称名寺の塔頭である光明院で発見された。称名寺は執権北条氏(得宗家)の一族・金沢北条氏の菩提寺として知られる。
破損部分が多かった像は、県立金沢文庫に預けられて解体修理と調査が進められ、この時、X線撮影などによって像内納入物の存在が確認された。そして、納入されていた文書から、建保4(1216)年、鎌倉の将軍御所で養育係をつとめた「源氏大弐殿」が、運慶に制作させたことが判明したのが平成19(2007)年。すると、翌平成20年にはすぐさま国の重要文化財に指定された。

大威徳明王は、本来六面六臂六足で水牛の背に跨っている姿で造像されるが、本像は下半身の全てと、乗っていたはずの水牛、さらには六本の腕もほとんどを失っており(しっかり残っているのは右腕の1本、肘のあたりまで残っている腕がもう1本)、しかも現存像高はわずかに21.1㎝という小像である。
にもかかわらず、これが一足飛びで重文指定を受けたというところにも、運慶という仏師の評価の高さを感じたものだった。
最後に、欠損部分の多い像ではあるが、彩色はかなりよく残っていることを付け加えておく。

 

【拝観の記録】
木造大威徳明王坐像/重要文化財/神奈川・称名寺光明院蔵(県立金沢文庫管理)
鎌倉時代・建保4(1216)年/像高:21.1㎝(現存)/木造・彩色/運慶作
拝観日:2022年10月27日
於:神奈川県立金沢文庫「運慶800年遠忌記念特別展 運慶―鎌倉幕府と三浦一族」