7月6日~9月4日迄、横須賀美術館で開催されていた「開館15周年記念 800年遠忌記念特別展 運慶―鎌倉幕府と三浦一族」で見て来た仏像について、幾つか取り上げて紹介するシリーズ。
最後は、全員お揃いになると見事なフォーメーションも印象的な十二神将立像をピックアップしたい。
※写真は全て、現地で購って来た図録より。
今は神奈川県立金沢文庫に寄託されているようだが、ちょっと前までは東京国立博物館(以下、東博と略記)に寄託されており、わたしはコロナ前までほぼ月いちペースで東博に通っていたので、常設展などでちょくちょくお目にかかっていた。
個人的には馴染み深い感じのする十二神将である。
※写真左から、未神像(伝申神)、卯神像(伝子神)、子神像(伝未神)
この像を所蔵する横須賀の曹源寺は、古代寺院に起源を持ち、有力御家人・三浦氏と関係の深かった寺院で、建久三(1192)年には三代将軍・源実朝の安産祈願も行われた。
補修の際に、像内から見つかった修理銘により、この十二神将は建久年間の制作である可能性が高いとされるが、12躯のうち巳神が他の像よりもひときわ大きく、すぐれた作風であることから、建久3年巳年生まれである源実朝と関係の深い像なのでは? という説が、近年提唱されているらしい。
※こちらの写真が巳神像
写実的でダイナミックな作風から、運慶工房、あるいは運慶派の仏師が関与していることは確実とされながら、国の重文指定を受けたのは意外に遅く、平成24(2012)年のこと。
頭上に彫られた、干支を表す動物が後補らしく、本来の尊名と一致していないことが、重文指定が遅れた要因なんじゃないかと、今回久々にじっくり拝観したことで考えたりした。
とまれ、それぞれに決めのポーズもカッコイイ、見事な12躯である。
【拝観の記録】
木造十二神将立像/重文/神奈川・曹源寺蔵(県立金沢文庫寄託)
鎌倉時代初期/像高:67.8~91.4㎝/木造・彩色
拝観日:2022年7月23日
於:横須賀美術館「開館15周年記念 800年遠忌記念特別展 運慶―鎌倉幕府と三浦一族」