本年(2025年)9月9日~11月30日まで、東京国立博物館(以下、東博と略記)で開催されている特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」で拝観して来た仏像を取り上げるシリーズ。
ラストを飾るのは、迫力満点の四天王立像である。

↑こちら持国天。
※画像は全て、現地で購って来たポストカードより。

この四天王立像は現在、2018(平成30)年に再建成った中金堂に安置されている(そういえば、中金堂が再建されてから興福寺には行ってないな。。)。
しかし最近の研究では、どうやらこの四天王立像が、もともとは北円堂にあった四天王立像ではないか? という説が有力らしく、今回の特別展では、再建当初の北円堂にあった(と思しき)仏像群を集めて、当時の北円堂の堂内を再現する、というのが一つの大きな見所であった。

↑こちらが広目天。

平家による南都焼討によって北円堂が焼失する以前に堂内にあったとされる四天王像をモデルにした復興像らしく、ダイナミックさは(慶派の天部の像にしては)控えめ。

自由度もかなり制約された中での造像だったろうと思う。
が、如来や菩薩にはない体の動き、ポージング、筋肉や血管の表現、武具や装身具のデコレーションなど、存分に仏師の力が発揮されているように見受けられた。
ただただ厳めしいわけではない。

ほかの像と比べて、力の入ってないリラックスしたような状態にあるように見える多聞天像には、なので血管表現も控えめで、しっかりリアルなところもあった。

↑こちらが多聞天。

掲げ持つ宝塔の先に目を向ける多聞天、手にした刀の切っ先に視線をやる増長天と、「視線」で動きを感じさせるのも、いいなと思ったポイントである。

↑こちらが増長天。

また、それぞれの像が立つ台座だが、周辺部分は自然木(あるいは岩?)に見えるように彫られていたのだが、像が立っている部分は平らに整形され、「木材」というのが見て取れた。
そのあたりも個人的には面白く感じたポイントである。
この四天王立像に関しては、運慶一門が手掛けたという確たる証拠はないようだが、素晴らしい四天王像には違いないと思った次第。

 

【拝観の記録】
木造四天王立像/国宝/奈良・興福寺蔵(中金堂安置)
鎌倉時代/像高…持国天=200.0㎝、増長天=206.6㎝、広目天=197.5㎝、多聞天=197.2㎝/木造・彩色、截金
拝観日:2025年10月15日
於:東博「特別展 運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」