現在も東京国立博物館(以下、東博と略記)で開催中(4月16日~6月9日迄)の特別展『法然と極楽浄土』に、4月の末に足を運んで拝観した仏像を取り上げるシリーズ。
第二弾は、福島県のいわき市が所蔵する善光寺式阿弥陀をピックアップ。

※写真は、現地で購入して来た図録より

善光寺式阿弥陀とは、インド伝来の霊像とされる長野・善光寺の本尊(絶対秘仏)を模刻したもので、12世紀以降、善光寺が浄土信仰の拠点として、天台宗・時宗・浄土宗など、宗派の枠を超えて重んじられるようになると、各地の浄土信仰の拠点などで造られるようになった。
本像がもともと伝来した福島県の如来寺も、浄土宗名越派の中心寺院として知られた寺院だったようだ。

善光寺式阿弥陀の最も顕著な特徴は、いわゆる「一光三尊」という、一つの光背の前に、阿弥陀三尊の3躯が全ておさまるというスタイル。
そして、銅造であるためか、彫りはそれほど緻密ではなく、むしろおおざっぱで、そのためおおらかな印象を受けるという点も特色だと思う。

本像も、鍍金を貼り付けた光背とか、衣紋の線刻とか、像の表情なんかも含めて、造形的・技術的には拙い印象を受けたのだが、それが逆にアルカイックな魅力にもなっていた。
光背や中尊の台座には嘉元2(1304)年の修復銘があると云う。

 

【拝観の記録】
銅造阿弥陀如来及び両脇侍立像/重要文化財/福島・いわき市蔵
鎌倉時代・13世紀/像高・中尊=47.0㎝、左脇侍=33.1㎝、右脇侍=33.2㎝/銅造・鍍金
拝観日:2024年4月30日
於:東博「特別展 法然と極楽浄土」(東博平成館)