新聞に掲載された中学生の読書感想文。それを見て気に

なった本がこれ。

 

 

      

 

 

 現在も続くロシアによるウクライナ侵攻のため、一人の少女が日本に避難してきました。ウクライナで戦争が始まってから日本に来るまで、さまざまな困難を乗り越えてきたことを書き綴った日記です。

 

 ズラータさんは日本語の教本を目にしてから、日本語に関心をもち、殆ど独学で日本語を身につけます。これだけでも凄いと思うのですが、彼女のバイタリティーはその程度ではありません。日本の小説やアニメに興味をもち、絵を描くことが得意なこともあって、日本で漫画家になる夢をもつまでになります。そのようななか、ロシアが侵攻してきました。彼女の母親は、工面した16万円を娘にもたせ、日本に送り出すことを決意します。戦争のさなか、電車や飛行機が使用できるのか、またコロナ感染にも注意をはらわなくてはなりません。このような困難が続くなか、何度もあきらめるしかないところまで、追い詰められてしまいます。しかし強い意志をもっていると、不思議と幸運は巡ってくるもので、現地を取材する日本人スタッフやボランティアに、窮地を助けてもらいます。

 

 この本の文章と挿絵は全て、彼女が書いたものです。文章は編集の方にも手伝ってもらう部分があったと思いますが、私が驚いたことの一つに「自分の審美眼にかなったものを描きたくなるものなのだ」との一節があります。この「審美眼」、私はこの言葉の意味がわからず、すぐにスマホで調べてしまいました。彼女が本当に知っていた言葉ならば、どれほど日本語を真剣に覚えたのだろうかと、ビックリしてしまいました。

 16歳の少女が、一人で見知らぬ土地である日本を目指してくることにも感心してしまいます。この頃の私なら、果たして同じことができただろうかと、思ってしまいます。

 

 当然、彼女もそうでしょうが、故郷に残してきた母親や親せきをどれほど心配していることでしょう。無事に過ごしておられるのならよいのですが…。

 とても読みやすい本なので、ズラータさんの勇気をに触れてみてもよいのでは・・・。

 

 

 

《今日の心が動いた》

 なさねばならぬ事柄をなすべき道は、つねにある

       ノルウェーの探検家/フリチョフ・ナンセン