「パントマイムの神様」と呼ばれたマルセル・マルソーに、こんなエピソードがあったとは…。

 

昨日、「沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家」を見てきました。8月27日公開とはなっていましたが、宮城県では、昨日が公開日になったようです。

マルセル・マルソーを「パントマイムをする人」としか、認識していませんでした。命がけでユダヤ人孤児を救った事実を、私は全く知りませんでした。生前、彼自身、このことを口にすることは、なかったようです。

 

今までナチスによるユダヤ人迫害の映画を、何本か見てきました。いずれもナチスによる非道な虐殺は共通していますが、この映画はそれに加え、一味違う感じがします。それは、子どもたちの心も描かれていたからだと思います。

 

両親をナチスに殺され、それを目の当たりにした精神的なダメージは、子どもたちにとって想像を絶するものだったでしょう。彼らを救おうとする大人たちを、初めは信じようとはしませんでした。いや、信じられなかったのでしょう。そんな彼らと、マルセルはパントマイムを使って、絆をつくっていきます。ナチスの手から逃れて穏やかに過ごせた時間の彼らは、子どもらしく生き生きとしています。しかし、フランスにナチスが侵攻して、彼らに危機が及ぶと、一時教会等に預けられます。子どもたちにどれほどの信仰心があったかはわかりませんが、唯一神の信仰上、対立する宗教に身を置き、讃美歌を歌う彼らの心境は、いかばかりだったでしょうか。また彼らは、ナチスに追われた時の緊急避難方法も学んでいきます。これらのことが、絶体絶命のピンチの時に、彼らを救います。

私はこの映画を通し、子どもたちが自分の命を必死に守る姿に、心を動かされました。またこのようなことを、子どもたちに二度とさせてはいけないと、強く感じました。

 

大人のほうにも、目を向けてみましょう。

目の前で親族を虐殺されたエマは、ナチスへの復讐を決意します。しかし、それは無駄死にすることだと、マルセルから諭されます。そこで二人が改に決意していきます。その時の二人の会話は、名シーンの一つです。この映画をこれからご覧になられる方は、このシーンをじっくり味わってください。

 

お勧めの作品ですよ。

 

 

≪今日の心が動いた≫

有能の士はどんな足枷(あしかせ)をはめられていようとも飛躍する。                    [ナポレオン・ボナパルト]