夜になると襲う不安。
私のこれからは?
どの仕事に就くんだろう。
病気はいつ治るんだろう。
これから誰かに出会い、好きだと思える人はできるのだろう。
私は母を、父を、自分を許せる日は来るのだろう。
私は自分の人生を歩いていけるのだろう。
昼間には考えてもすぐに切り替えられるけど、
夜になると襲ってくる黒いモヤモヤ。
母も彼も、一緒にいた時間が長過ぎて、濃過ぎて、
どちらも私と一緒にいることは、お互いに苦しむだけだからと思っても、過去の思い出はほぼ美化されるもので、
あの日の笑顔、バカみたいな話、一緒に行った温泉、年越しそば、初詣。車の中で鼻血が出るほど笑ったこと、兄とみんなで囲んだオードブル。
それは私の人生の中ではとても大きな幸福だった。
本来ならあるべき家族の姿。
そんなものなくてもいい、そんなものなくても私は大丈夫。
ずっとずっとそう思っていきてきた私に少しだけ来た、そんな些細な時間は、
本当は、一番欲しかったものだったんだと思う。
ずっと、ずっと欲しかったそんな小さな日々が
忘れられない。
あれは幻のように、過ぎていった。
もう戻れないだろう。
きっと、母があのままである限り。
私は今の道を選んだ。
あの日以上の幸せをいつか私は感じられるだろうか。