〈先月読んだ本〉
「遺言墨」という都市伝説がある。
遺言墨で手紙を書くと相手に思いが必ず伝わる代わりに差出人が死ぬというやつだ。
受取人が死ぬとされる地域もある。
この小説では、遺言墨で書かれた手紙が高校三年のときに埋めたタイムカプセルに入れられた。
10年後の同窓会で開封されるのだ。
入れたのはクラスでいじめられていた女子生徒らしい。
同窓会用に立ち上げられたSNSに届いた発信者不明のメッセージがそう告げていた。
誰あてに書かれたのか?
身に覚えのある者は戦々恐々とする。
まさか都市伝説を信じているわけではあるまいが・・・。
そして同窓会当日がやってくる。
恨みは晴らすまでは我慢ならないものだが、晴らした瞬間に後悔するような気がする。