氷艶ロスからまだ抜け出せません。

物語にどっぷりはまってしまって、溺れている状態です。


所詮「創作」されたものなのに、光源氏が本当に存在した人物かのような錯覚に陥っています。
だから、光源氏を失ってしまったことが悲しく、心にぽっかりと穴が空いたような状態です。

紫式部による源氏物語では、といっても、原文ではなく、漫画の「あさきゆめみし」を読んだ限りですが、光源氏自身の人生よりも、むしろ彼に関わる女性たちの人生模様といった印象が強く、光源氏に感情移入することはなかった。今ひとつ人間像が見えず、彼の内面の魅力まで感じることはなかった。

 

今回の『氷艶』では、異母兄である朱雀との関係を軸に、光源氏の少年期から青年期、そして若くして人生を終えるまでの、本当に短く、儚い生涯を描いた内容です。(もちろん原作とは違う、オリジナルストーリーです)
美しい年上の女性、藤壺への抑えきれない真っ直ぐで激しい恋心、自分のことを一心に愛してくれる可憐な紫の上への情愛、そして光源氏を支え、最後の最後に光源氏に気持ちを打ち明ける松浦への友情、そういう光源氏の心の内が十分に伝わる物語であり、高橋大輔の演技でした。
光源氏が男として成長していく様を見続けて、気がついたら観客も高橋大輔演じる光源氏の魅力にどっぷりと浸かっている。
それが今回の『氷艶』だったと思います。

パフォーマンスそのものや共演者については、また後日感想を書くとして(多分)、今回は、物語そのものを取り上げます。


手裏剣


わしは全6公演中、初日と楽日の計4公演を鑑賞しました。
公演前に買ったパンフレットで、大ちゃんにセリフと歌があることは知っていたのですが、実はそれほど期待はしていなかった。所詮プロの役者さんや歌手ではないのだから、そこそこでしょう、と。
ところが、初回を見て驚きました。技術的にプロにはかなわないにしろ、予想以上の出来だったのと、それが単純に「うまい」とか「器用」とかいうことではなくて、その言葉と歌が「真っ直ぐハートに来た」ということです。だから、そのセリフや歌を通して(そしてもちろん、スケーティングパフォーマンスも含めて)、彼の演じる光源氏がとても立体的に見えてきて、十分に感情移入ができた。

 

彼のセリフや歌を書き留めておきたい。

 

わしは初回を見た段階で、残り三公演で、取り敢えず高橋大輔部分メインにシナリオ起こしのようなことをしよう、と思いました。
今回は映像があるわけではなく舞台なので巻き戻すことはできませんが、パンフレットに全場面ごとの登場人物とセリフの一部、そして展開を書いたあらすじが掲載されていたので、初日の会場ではできるだけ大ちゃんのセリフや印象深い歌のところだけメモり、家に帰ってパンフのあらすじをひたすらそっくり書き写すようにパソコンに入力して、場面を頭に叩き込むようにしました。そして楽日でセリフと歌の穴を埋めるようにして、あとTLでも大ちゃんのセリフ書き起こしをされた方がいたり、歌比べの和歌を探し出された方がいたので、それも参考にさせていただいて(和歌には現代訳もつけていますが、参照リンクを貼っています)、実際の演技にできるだけ沿って修正して完成させました。

なので、基本はパンフレットのあらすじをそのまま書き写した部分が多くはなっていますが、実際の演技に基づいて変わっている部分もあります。セリフはさすがに大ちゃん部分が限界だったので、彼が登場しない場面はセリフなしか、あってもパンフのあらすじのコピペです。(印象深いところは覚えた内容で書いていますが)
とにかく「勝手にシナリオ起こし」なので、内容は必ずしも正確ではなく、わしの解釈がかなり入った内容ということをご承知ください。なお、字数制限の関係で、記事を第一幕と第二幕の二回に分けてアップします。

(ちなみに、現実の台本は通常、ト書きとセリフだけで、登場人物の心情描写や状況描写はなく、わしがやったのは、シナリオ起こしというよりノベライズに近いかもです)

 

今回、あらすじとして書いてみて改めて思うのは、場面転換や心情描写に「音楽」がとても大きな役割を果たしていたということ。光源氏が男としていろんな経験を経て内面も変わっていく状況を見事に表現していたような気がします。

これは是非とも、サントラCDを出していただくしかないでしょう。


手裏剣

 

ということで、完全に詳細なネタバレになっているので、舞台を見た人はともかく、まだ見ていない人は、この後の部分は絶対にまだ見ないでください。9月のTV放映まで我慢してくださいね。

今後できれば、出演者全員のセリフと平原さんのナレーションや歌詞、そして正確な場面展開も入れたい。なので、もしかしたら9月のTV放送後に、シナリオ採録をやるかもしれない。やらないかもしれない。
もしやるとしたら、新しい記事にはせずに、この記事をアップデートするかも。

 

<TV放送予定>

 

【BS日テレ】
■放送日時:9月1日(日) 12:00~
『氷艶hyoen2019』(4K放送もあり)
http://www.bs4.jp/hyoen/

 

【日テレプラス】
■放送日時:10月5日(土) 17:00~
『氷艶2019 完全版』

https://www.nitteleplus.com/program/stage/hyoen2019.html

 

きっと、上記放送後には、DVD/BDの発売も決まってるんですよね?

 

 

手裏剣  手裏剣  手裏剣

 

 

「氷艶hyoen2019 −月光かりの如く」

 

 

<第一幕>

 

 


●プロローグ


月光に照らされた都。

 

あの方は  月でございました
月は  夜の孤独の中でこそ
美しく 輝くもので ございます

そうです、あの方は、月光かりの如く、
私たちの住むこの世にお生まれになられたのです

 


産声が聞こえ、世にも美しい赤子が、産婆によって掲げられた。
のちの光源氏(高橋大輔)の誕生である。

その様子を見守っていたのは、帝(西岡徳馬)と、弘徽殿(荒川静香)、そしてその息子である朱雀(のちの朱雀帝/ステファン・ランビエール)。


帝は朱雀に語りかける。
「朱雀は太陽のように輝く皇子となるだろう。ここにうまれし赤子は、月のように光る皇子となるだろう」

幼い朱雀と光源氏は、異母兄弟としてともに育った。
そんな二人を見て、優しく微笑む光源氏の母、桐壺(平原綾香)。しかし朱雀の母である弘徽殿は苛立ちを隠せずにいた。

 

 

 

●第一場 宮廷の庭

 

幼い光君と朱雀の歌

 

君とぼくと 
二人一緒にいれば 
どんなときも
楽しくなれる 
空の星も あの満月も 
微笑んでいる 
君とぼくと 
二人だけの秘密だ 
たとえ遠く 離れようとも 
二人は変わらない 
友達だよ 
いついつまでも 
ララララララ 
ララララララ 
ララララララ 
友達だよ 
いついつまでも 
ずっと♪

 

幼い光君と朱雀の二人は、わらべ歌に乗せて楽しく遊ぶように舞う。
光君は、大切に箱の中にしまっておいた勾玉を朱雀に渡す。

 

 

 

●第二場 庭から帝の部屋の前へ

 

苛立つ弘徽殿。長道(波岡一喜)が現れ、弘徽殿に帝と桐壺の様子を伝える。
弘徽殿の目の前に、帝の部屋で、帝に寄り添う桐壺が見える。

長道が弘徽殿に耳打ちする。
「桐壺は怪しい身分でありながら、身の程知らずも甚だしい。帝が光源氏を次の帝にするなどと言い出しては一大事だ。そうなる前に・・・・」


長道は陰陽師(織田信成)を呼び出して桐壺を殺すよう命じる。
陰陽師の術によって、桐壺は呪い殺されてしまう。

 

(弘徽殿、長道、陰陽師退場)

 

亡くなった桐壺の部屋で、悲しみに暮れる帝と女官たち。
光君が亡き母を想い、悲しみに暮れていると、帝は代々の帝に伝えられてきた白龍の笛を渡す。

「この笛を、先祖から受け継がれしこの笛は、きっとそなたを守ってくれよう。
そなたはこれから光源氏と名乗り、この国のために尽くす人となりなさい」

 

幼い光君が笛を吹き、その音色が響き渡る。

そして光君と入れ替わるように、美しい青年へと成長した光源氏が、笛を吹きながらさっそうと現れる。

(高橋大輔登場!)

 

 

 

 

●第三場 都

 

光源氏は、母のいない寂しさを紛らわすため、たびたび宮廷を抜け出して町にでかけていた。
ある日、光源氏は女官たちの監視の目を盗み、宮廷を抜け出す。
その様はいたずら盛りの子供のようだ。


(場面は都へと移る)


女の姿に変装した光源氏が活気のある町中を散策している。

この頃の光源氏は、若々しい美しさと同時に幼さと無邪気さに溢れている。

颯爽としたスピードで人々の間を縫って、時には店先に立ち止まり、品物を勝手につまみ食いをする。

店の主人に追いかけられ、逃げ回る光源氏。
(ここはまるでウルトラマンダッシュのときのフードコートでのウェイター輔)

 

心配をしてついてきた頭中将(福士誠治)に窘められても、

「私は私の好きなようにする」

と意に介さない。

そうこうしているうちに、町人が集まり出し、ついに光源氏であることがばれてしまう。
もしやあなたは、光源氏様??

「そうだ」

たちまち町人たちに取り囲まれてしまう。
頭中将が慌てて間に入り、うまく誤魔化しその場を逃れる。

 


盗みを犯すと宮廷を追放されてしまう、と心配する頭中将に対し、光源氏は聞く耳を持たない。

「私は私のしたいようにやる。追放されるならそれまで。」
「何を言ってるんですか。あなたこそ帝になれるお方だ」
「私のような生まれの者が、朱雀君に敵うと思うか?私は月なのだ。月の光は太陽には叶わぬ」

 

 

 

●第四場 宮廷の広場(宴の席)

 

(藤壺と光源氏、最初の出会い)

 

(宮廷のひな壇登場)

 

「皆のものを招いたのは、他でもない。ここにおるのが、私の美しき妻、藤壺じゃ」
帝により、新しい妃となった藤壺(平原綾香/二役)がお披露目される。

 

藤壺から目を離すことができない光源氏。
藤壺は、桐壺に瓜二つの女性だったのだ。
光源氏と同じく、帝もまた、桐壺を忘れられずにいた。

 

そこへ、弘徽殿と長道が朧月夜(鈴木明子)を連れてくる。長道は、朧月夜は朱雀の嫁、すなわち将来の妃になる方だと説明する。
長道に薦められ、美しい舞を見せる朧月夜。
しかし、朱雀だけは冷めた目で舞を見つめているのだった。

 

次に長道は帝に、朱雀と光源氏を歌比べで競い合わせることを提案した。
「それは面白い。どうだ、我が息子たち。藤壺に贈る歌を作り、心を響かせてはくれまいか。人の上に立つ帝は、気高き心をもって、民の心に言葉を響かせねばならぬ。」

 

光源氏と朱雀の歌比べが始まる。

 

まずは朱雀。

「九重を 霞へだつる住処にも 春と告げくる 鶯の声」
(第二十一帖 乙女: 宮中から遠く離れた仙洞御所にも春が来たと鴬の声が聞こえてきます)

 

次に光源氏。

「もの思ふに 立ち舞ふべくも あらぬ身の袖うち振りし 心知りきや」
(第七帖 紅葉賀: つらい気持ちのまま立派に舞うことなどはとてもできそうもないわが身が袖を振って舞った気持ちはお分りいただけたでしょうか)

 

朱雀。

「さしつぎに 見るものにもが万世を 黄楊の小櫛の 神さぶるまで」
(第三十四帖 若菜上: あなたに引き続いて姫宮の幸福を見たいものです 千秋万歳を告げる黄楊の小櫛が古くなるまで)

 

光源氏。

「よそへつつ  見るに心も慰まで  露けさまさる  撫子の花」
(第七帖 紅葉賀: 思いよそえて見ているが、気持ちは慰まず涙を催させる撫子の花の花であるよ)

「尽きもせぬ  心の闇にくるるかな  雲居に人を見るにつけても」
(第七帖 紅葉賀: 尽きない恋の思いに何も見えないはるか高い地位につかれる方を仰ぎ見るにつけても)

 

 


藤壺はどちらが優れているか決めることはできないといって祝いの席を立つ。

 

(ひな壇退場)

 

場面は変わり、藤壺と光源氏。

 

藤壺の遠く後ろを気づかれぬようについていく光源氏。

やがて藤壺に気づかれてしまう。
「なぜ後を追うのです?なぜこの私を?」

 

いったん躊躇する光源氏だが、決心したように藤壺を真っ直ぐに見つめる。

「惹かれてしまった…」
「あなたを求めるこの心、どうしても抑えきれないのです」
「あなたが欲しい…あなたの全てが」

 

藤壺に対する抑えきれない気持ちを舞う、光源氏。
刹那に、ただ一途に。
若い光源氏の溢れる想いが空間を満たす。

 

しかし、藤壺はそれに答えず、去るのだった。

 

 

 

●第五場 弘徽殿の部屋

 

弘徽殿は怒りをおさえられない。そんな弘徽殿に長道は耳打ちする。
「朱雀に光源氏を狩りへ誘い出すようお伝えください。あとは私にお任せを」

 

 

 

●第六場 森

 

場面は変わり、明るく躍動感のある音楽が流れる。
狩りに出かけた光源氏と朱雀、そして頭中将と朱雀のお供の者がいる。

 

ここで、二人による狩りの舞。
力強く、太鼓のリズムに合わせた男性的な舞。
放つ弓矢は、いずれも獲物を捕らえているようだ。
二人は兄弟らしく息もぴったりだ。

 

光源氏と兄の朱雀は、ともに狩りの腕前は拮抗しており、勝負はつかない。

「幼い頃から兄上と私はいつも同じだ」
満足気な光源氏。

 

 

 

狩りを終え、朱雀とお供の者は先に帰る。
光源氏と頭中将もその場を去ろうとするが、突然そこに刺客たちが現れる。


そして光源氏、頭中将と、刺客たちの戦いが始まる。

結局、頭中将が刺客たちを返り討ちにし、長道による光源氏の暗殺計画は失敗に終わる。

 

 

●第七場 藤壺の部屋


刺客に命を狙われ、不安と孤独に襲われた光源氏。

「なぜあの者たちは、この私を…」

足は自然と藤壺の部屋へ向かう。

 

「そこで何をしているのです?」

「私は命を狙われました」

「それは誠に?その傷は?」

「ただのかすり傷です。しかし、心の傷から流れる血は止まりません。
どうか、おそばに」

「それはできません。私は帝の妃。帝以外の殿方を入れることはなりません」

「わかっております。しかし私を救えるのはあなたしかいない…」

 

躊躇しつつも、藤壺は光源氏の熱い想いを拒絶することができない。

(その様子を遠くから見ている帝)

 

藤壺は、罪とわかりながらも光源氏に心を許していく。
ついに光源氏を部屋に入れることをも許してしまう。

引き寄せられる二人。
そして二人は唇を合わせる。
藤壺を強く抱き寄せる光源氏。
重なる二人の影。

 

 

 

(暗転)

 

そして二人は一夜をともにする。


(やがて夜が明け始める)


光源氏は真っ直ぐに藤壺を見つめている。

「なぜ涙を流すのですか?」
しかし藤壺は光源氏を見つめ返すことができない。

「心が苦しいのです。お帰りください」

藤壺は泣いていた。

「もう二度と、ここへ来てはなりません」

 

光源氏は二度と受け入れてもらえないことを知り、心を痛め、藤壺の部屋を去る。

残された藤壺の心の叫びが歌となる。

 

♪…あなたは私の運命の人だと知っていても会えないの、今も…

 

藤壺の想いは、本当は光源氏とともにあった。
藤壺もまた、光源氏への想いと後悔の念に苦しんでいた。

 

 

 

●第八場 五重塔の池のほとり


傷心のまま、独り寂しく歩く光源氏。
少女のすすり泣く声が聞こえる。

近づくと、少女は一人ぼっちだった。

 

「どうした?」
「なぜ泣いている?家族は?」
「…そなたも一人か。ならば私と共に来い」

 

光源氏は優しく少女に手を伸ばし、少女を連れてその場を去る。

人の出会いとは不思議なもの。光源氏は、その孤独な少女に幼い頃の自分を重ねていた。少女を「紫」と名付け、育てることを決める。


そして、たった一度の過ちにより、藤壺は光源氏の子を身ごもってしまうのだった。
その子は、帝により、若宮と名付けられた。

 

 


●第九場 宮廷の広間

 

(宮廷のひな壇登場)

 

藤壺が生んだ若宮のお披露目の場。

 

「源氏はどこだ、光源氏はどこへ行った?」

「こちらでございます」

 

全員が揃ったところで、帝は朱雀を次の帝とすること、そして若宮を次の皇太子とするよう申し付ける。

「そなたは、この若宮を生涯守り通すのだ。よいな」

「しかし…」

 

光源氏は藤壺を見て、若宮が自分の子なのかを心で訴える。
しかし、藤壺はすっかり母の顔となり表情を変えない。
(私は罪を背負わなくてはなりません。若宮が光源氏の子であることは、生涯この胸にしまいます)

 

「源氏、頼んだぞ!」
帝はその言葉を残し、胸を押さえながら崩れ落ちる。

しかし、光源氏は帝の異変に気がつかないでいた。
帝が朱雀を後継に選んだことで、光源氏はより孤独を感じ、落ち込んでいたのだ。
光源氏は、一人、その場を立ち去った。

 

 


●第十場 森から光源氏の部屋

 

(陽気な音楽が流れる)

 

時が流れ、美しく成長した紫の上(ユリア・リプニツカヤ)が登場する。

光源氏は紫の上とともにいても、心ここにあらず。紫の上を森に残し、一人部屋にこもる。
自分に振り向かぬ光源氏に寂しく思いながらも、その想いをのせて美しく舞う紫の上。

 

その姿を森で偶然見かける朱雀。若く美しい紫の上に一目惚れをする。
従者を払い、紫の上と戯れる。
朱雀と紫の上の舞は優雅で美しい。
朱雀は思いを止められず、紫の上を強引に引き寄せ自分のものにしようとする。抵抗し、朱雀から逃げる紫の上。

 

 

 

異変に気づいた光源氏が紫の上のもとに駆けつけ、紫の上を強く抱き寄せる。
朱雀と光源氏、二人の対立が決定的となった瞬間であった。

朱雀が去り、紫の上と光源氏の二人だけの時間が流れる。
光源氏は以前にも増して紫の上が愛おしく思え、愛を囁き合うように二人で舞う。
源氏は紫の上を抱き寄せ唇を合わせる。

 

 

 

そこに頭中将がかけつけ、訃報を伝える。
「帝が…お父上が…崩御あそばされた!」

 

 

 

●第十一場 宮廷の広間

 

(ひな壇登場)

 

深い悲しみの中、帝の葬儀が執り行われる。


光源氏は、紫の上に恋をし自分のものにしたがる朱雀に苛立ち、刀を取り出す。
その様子に気づいた長道とその手下たちが、光源氏を襲う。
「光源氏を捉えるのだ!」

 

 

刀で応戦する光源氏。
しかし、多勢に無勢、形勢不利となったその時。

光源氏は亡き父の言葉を思い出し、笛を取り出し、吹き始める。
すると、皆既日食が起こり、辺は闇に包まれる。


突然の出来事に皆が混乱する中、光源氏は紫の上を連れて逃げ出す。

長道と手下たちは二人を追う。

 

 

 

●第十二 海上

 

 

 

光源氏と紫の上を乗せた、小舟が沖へと急ぐ。
その後ろを、長道と朝廷の兵士たちを乗せた船が追う。

船上での戦いが始まる。


一人で戦っていた光源氏であったが、とうとう船のヘリに追い詰められる。
光源氏は海に投げ出されてしまい、紫の上は朝廷の船に乗せられる。
紫の上は必死に海へと手を差し伸べるが、その手が光源氏に届くことはなかった。
光源氏はそのまま溺れて姿が見えなくなってしまう。

 

 

 


(映像: 藤壺への告白のシーンから、朱雀に切りつけ追放されるシーン、海で溺れるシーン、目を覚まし笛を吹くシーンまでをツイッターで上げてくださっています)
https://twitter.com/daidai_316/status/1156538658909900800

 

 

 

第二幕へとつづく