多聞天、増長天と続いてきた四天王の制作も、
いよいよ三尊目に入りました。
まだまだ荒彫りの段階ではありますが、木の中に眠っていた輪郭が少しずつ姿を現し、
これからどのような表情になっていくのか、
私自身も楽しみにしながら手を進めています。
梅雨の季節は、工房の空気がどこかしっとりと落ち着き、
木の香りがいつもより濃く感じられる時期でもあります。
雨音が屋根を叩くたびに、外の世界が少し遠のいていくようで、
その静けさの中で刃を入れていると、木と向き合う時間がより深くなる気がします。
荒彫りは、仏像制作の中でも特に“勢い”と“判断”が求められる工程です。
大まかな形を決めるこの段階で、仏さまの佇まいの方向性がほぼ決まっていきます。
一度削り落とした木は戻らないため、迷いすぎてもいけないし、
かといって急ぎすぎても大切な線を見落としてしまいます。
その緊張感と静けさが、荒彫りの魅力でもあります。
多聞天、増長天と並べてみると、三尊が少しずつ揃っていく喜びがあります。
丁寧にゆっくりと進めて参ります。







