え?もうすぐ11月?? うん・・・ (´・ω・`)

 

 

 

 

 

 

 

 

闇夜に光る月に映るは神姫一体。
夜風に揺られ、草木がかすかに音を立てた。月はゆっくりと中天へ昇っていく。雲はない――
「いい月……きれいな満月です」
ぽつりと呟く声だけが夜の庭に響いた。声の持ち主の視線は月に向いていた。瞳も美しく輝いていて、それは澄んだ琥珀色で宝石のように煌いていた。
そして彼女の目は、登る月に向かって静かに微笑んでいる。
くるくると回りながら踊っていた神姫は、動きをピタリと止めて、満天の星空を仰いだ。そのまま両手を広げる動作をとると、彼女はその場で一回転して綺麗なお辞儀をした。その動きに合わせ光翼を広げ周囲に淡く輝く光が降り注いでいく。そして彼女は帰りを待っていたように肩に着地をして小さく微笑むのだった。
「では、参りましょう」
神姫は優しく囁いた。月を背に光を浴びて笑うその姿はあまりにも神秘的すぎる光景。そんな感動を覚えたまま、散歩を始めた。

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中秋の名月に相応しい最高の月、満月の夜の光に照らされた私たちは散歩を楽しんでいた。
「とてもきれいな夜空ですね……」
空を見上げて、深呼吸する彼女を見ていたのだ。風が光翼を揺らめかせ、月を見て優しく微笑みながら何を思っているのだろう。ただ私は彼女の笑顔を見ていると不思議な気持ちになる。
すると、「……しかし、少々寒いかもしれませんね……」

彼女のことと一瞬思ったが神姫であるため、温度調節もある程度できるはずである。
 

「この寒さを、私の熱で……ご奉仕します……」そう思い立った矢先――

光翼を霧散させると彼女は私の胸のポケットに入り込みその部分が温まってくる。
 

「…どうですか?」

ひょっこりとポケットの外で顔を出した可愛らしい動作をするので、微笑み返すと彼女は喜んでくれた。思いやりのできる優しい神姫だと感謝して、頭を撫でてあげると幸せそうな表情をしていた。
しばらく歩いてみて目に留まった場所で

「ここは、いい場所ですね……。星がよく見える、眺めもいいです」上を向くと、満天の星々が見え私は夢中になっていた。確かに、ここは素晴らしい場所だ。
「……星空を見ていると心が洗われる、そんな気がします……」
その言葉に私も軽く相槌を打つ。
「……続きをお話するのは、また機会があれば。」
そういうとポケットから降りて彼女は目の前に立ち、一礼した後「失礼いたします」光翼を展開させながらこう言った。
「本日は私と二人きりのお散歩、最後までご奉仕できることを誇りに思います。また機会がありましたらお会いしましょう……」と言って姿を消した。