サイバージャーナリズム論 | ビジネス・ブック・アーカイブ

サイバージャーナリズム論

歌川 令三、湯川 鶴章、佐々木 俊尚、 森 健、スポンタ 中村といった、『研究グループ・ジャーナリズムの「それから」』の面々によるWebジャーナリズム論。
先日のはてなブックマークにおける「ネットいなご」説の一件もあり、興味深く読むことができた。
また、「新聞業界のこれから」や、「Web2.0」「ソーシャルメディア論」あたりも、関心のある方にとっては、マストな内容であろう。

●ただ、内容的に多岐に渡るため、個々の事象については一般的な言及にとどまっている部分が多い(ある意味しょうがない)。
よって、それぞれの著者の本で詳しく知っている人にとっては、若干物足りない可能性がある。
もっとも、共感できたり興味がある著者については、その人の本を掘り下げるのが正しいやり方かも。

●本書を読んで、改めて、日本の市場の特異性(?)が気になった。
特に新聞業界。
今、年金問題で、「破綻する事がわかっていたのに、過去、具体的な方策がとられていなかった」という話があるが、これと同じではないか?
テレビ局のシステムについても、もはや時代とマッチしていない事はあきらか。
「地デジのことで頭が一杯」らしいが、もはや過去の栄光とは決別した方が良いかと。

●かく言う私もブロガーのはしくれ。
ただし、「ジャーナリズムうんぬん」を考えたことなどない。
自分にとっては、「人がどう呼ぶか」なんてことは、それこそ「自分のコンテナーが何か」ぐらいどうでも良いことなのだから。

目次:
第一章 新聞ビジネス崩壊の予兆 ---- 歌川
第二章 「プロの記事」はブログより価値があるか? ---- 湯川
第三章テレビ局をめぐる大いなる幻想 ---- 佐々木
第四章グーグルにあらずんば情報にあらず ---- 森
第五章ウェブがもたらす「偏向」と「格差」 ---- 森
第六章 メディアとはコミュニティである ---- 湯川
第七章誰もがジャーナリストになれる?
・ジャーナリストとは"お偉方"の独占的称号ではない--中村
・ブロガー即ジャーナリストにあらず--森
・ジャーナリストの「それから」を論ず-- 中村vs森(司会:歌川)
第八章 「ネット」はいいこと尽くめではない ---- 歌川
第九章 「知」の共同体とジャーナリズムの「それから」 ---- 歌川
・ 公文俊平氏との対話