相関とは「二つのものの間に関連があること。互いに影響し合うこと。(大辞林)」とあります。つまり、ビジネスには相関関係がある、と言えるでしょう。売る側だけ、買う側だけでは成り立ちません。


このような出だしで、「相関」と、さらに「分散」の意味も考えながら、ある講演のタイトルから考察できることを文章にする機会がありました。

まずは冒頭のように、「相関」の意味を辞書で調べ、続けてこの言葉とビジネスという社会の働きについて共通して言えることを、次のように考え、記載しました。


「需要曲線と供給曲線による、取引量と価格が均衡する点が適正な価格であると決まることからも、関連があること、互いに影響し合うことが重要になると分かります。」


このようなビジネスの一事例として挙げられる最近のできごとを探すと、2018年2月25日発行の日経ヴェリタスに、「スマホゲーム」についての記事がありました。「互いに影響し合う」とされる「相関」と似た、「相乗効果」についてが紹介されています。


「『人気キャラクターなどIP(知的財産)が企業の業績をけん引している』とあり、『スマホゲームを通じて消費者に浸透、関連サービスとの相乗効果が生まれている』と紹介されています。


スマホゲームを配信している企業では、『国内でファンが定着し、安定して課金収入が入ってくるのに加え、海外で新たなファンが増えている』という好循環を見込めることがあるようです。」


この事実を参考に、相関や分散について何が言えるのか、そこから今後にどう生かせるかを考えることで、次のような文章でまとめています。


「まずは国内で販売し、その楽しさをお客様に認めてもらう。その証拠として課金収入が増えたことを活用して、海外でも販売することで、さらに多くのお客様に届ける。この流れは、どちらかがおろそかになればもう片方も失敗につながりかねない関係、つまり『相関』の状態だと言えるのではと感じます。


逆に、『分散投資』のように、ある部分での損失やリスクを補うことを狙って、別の選択肢を用意しておくことも、よく行われる方法の一つだと言えるでしょう。この場合、ある部分の状態が悪くなった時に、別の部分も『つられて』悪くなることは避けるべきだとされています。


特に、ある部分が悪くなったとしても、別の部分でその悪い状態を補えると考えるからこそ成り立つ関係であり、その狙いが達成できなければ、行うべきではない方法でしょう。


しかし、相関関係が望めることに関しては、ある部分が良い状態になれば、別の部分も良くなると見込めます。その結果はより大きな成功として訪れる、大変『おいしい』方法です。


そのような状態を狙うには、考え、時には失敗もしたりしながら、行動し、振り返り、修正を重ねるなどの、多くの努力も必要になるはずです。相関関係をなくすために分散することよりも難しい場合が多いのだろうと考えられます。


ですが、ビジネスの場合、つまり相関関係が見込める場合。


欲しいと思っているお客様がいて、提供したいと思っている私たちがいる場合は、ぜひ相関関係を良い方向に進めることを狙い、多くの困りごとを解決できれば嬉しいことだと思われます。


場合によっては、例えば国内市場と海外市場で、損失を分散させることを狙うのがいいと判断されることもあるかもしれませんが、相関関係がより良くなりそうだと感じられた時には、そのタイミングを逃さずに行動できれば嬉しいことだと思えますね。」


つまり、より良い結果につなげられるビジネスを行うため、まずは、提供する商品やサービスは、社会の困りごとを解決できるものであること、その商品やサービスを必要としている人々がいるはずだと確信できることが必要だと考えられます。


さらに、その商品やサービスが受け入れられる過程において、失敗や損失がまったくないと考えることはできないでしょう。そのため、もし失敗した時は何をどうするか、どう修正すべきかなどを事前に考えておくこともまた、大事なことだと思われます。


その上で、商品やサービスを提供する私たちと、それを手にいれることで困りごとが解決したり楽しさを得られたりするお客様の双方が喜べる、「相関」の関係が作れるよう努力することが重要だと言えるのでは、と述べた次第です。


この記事には、「関連はあるべきか?それとも分散が適切か? その判断の違いとは?」と見出しをつけています。片方だけを選ぶべきだと断言できるほどではなく、状況によってどちらか、または両方を使い分けることが必要かと思われますが、ではいつどちらの方法を採用するかを適切に判断し、いずれその時の判断と採用が間違いではなかったとわかる将来が来ればと、常に気をつけて、理由を持って判断していきたいと振り返るきっかけとなる、言葉と新聞記事との組み合わせになりました。