遅ればせながら、映画『君の名は。』を観てきました。異例の大ヒットですよね。今回はネタバレなしで評論したいと思います。

 

私が思うに、映画ってヒットする要素の一つに「時代性」があります。時代性とは、世情を反映しているという意味ではありません。今の時代だからこそ出す意味や意義がある、現代人が失ったものや憧れているものがある、という意味です。

 

「シン・ゴジラ」も、風化しつつある原発問題と日本人の可能性を見せてくれていました。「シン・ゴジラ」は、今だからこそ映画にする意味があったわけです。つまり、時代性がある。

 

この観点から『君の名は。』を見てみましょう。『君の名は。』は、ストレートに見れば、アニメーションを用いた恋愛映画です。これには異論はないと思います。では、時代性があったのか。はい、ありました。

 

 

今、特に若い世代は、戦後最も「恋愛」や「純愛」から遠い場所にいます。詳しくは、書籍『恋愛しない若者たち』を読んでください。簡潔に言うと、今の若い世代にとって恋愛は、リスクで面倒でコスパが悪いのです。できればしたくない。恋愛せずに結婚したいと考えています。

 

 

 

なぜこのようになったのか。それはテクノロジーが関係しています。ネットやSNSの普及が大きな影響を与えています。ネットがあれば性処理ができる、恋愛情報がネットやSNSで広がってしまう。破局するとリベンジポルノに遭うなどなど、今と昔では、環境が大きく異なってきたです。

 

『君の名は。』では、主人公の男女が“ある事情(現象)”により、電話もメールもできません。直接、連絡が取れないのです。また、周りにも打ち明けません。つまり、テクノロジーの恩恵をあえて排除しています。

 

テクノロジーは恋愛にとっては邪魔な存在。それが強制的に使えない。その中で描かれる恋愛描写。今の時代だからこそ描く意味のある、憧れる世界なのです。別の見方をすれば、「若者から恋愛が失われたからこそ、ヒットした」とも言えます。

 

先に紹介した書籍『恋愛しない若者たち』にも、恋愛が面倒なために、恋人を作らずセフレを作ったり(7人中1人)、恋人はいらないと答える20代が41%もいたり、末期的な状態です。

 

セフレ、僕も欲しいです。