虫の声はひときわ高く
涼しさを運ぶように響く

 

昨日が新月だった
今日も月はない

 

日中の暑さは
いまだに夏を思わせるが
 

夕暮れの風は少しひんやりとして
長い影がのびていく

 

冷え始めた夜空に
星がひとつ、またひとつと瞬き
 

夏の熱が少しずつ
夜の闇に吸い込まれていくようだ

 

 

蝉の声が遠のき
代わりに秋の虫たちが奏でる旋律
 

気づけば、空気には
ほんのりと冷えた香りが混じり始めている

 

季節の端境で、夏の残り火が
一日一日、静かに消えていく