小学生一年生の後半の頃でした。

突然ピアノを習いたいと言ってきました。


他の習い事としてピアノとは予想外でした。


学校の友達でピアノを習っている友達がいて刺激されたようです。


普通の家庭であれば女の子だし簡単にOKが出るでしょう。


しかし、我が家では空手を始める時の決まりがありました。



[小学6年生迄続けるか茶帯を取得するまでは他の習い事は認めない。]


こんな理不尽な掟があったのです。


妻を味方に執拗に懇願して来たので特例として課題を課しました。


確かその時初級戦ながら3大会に出場エントリーしていました。


そこで、「その3大会のうちで一つでも優勝したら許可する。」という条件でした。

厳しいかも知れませんが、何か一つでも自力でクリアしなければ次に何をやっても結果は見えています。

そこに親の甘さは見せませんでした。

駄々をこねる事なくチャンスをもらった事でその後の稽古にも気合いが入りました。

3大会とも男女混合戦。

桃子がもっとも嫌なトーナメント。

確か栃木県で開催された全関東大会だったと記憶しています。

決勝戦までは3回勝ち抜かなければなりません。

最初の大会のトーナメント表を見ると対戦相手は全て男子。


当時の桃子にとっては泣き出したいくらいの状況。

そして迎えた当日。


気迫のこもった闘いを続け、気がついたら決勝戦まで駒を進めました。


私はこの日、この決勝戦までピアノの事は一切口に出しませんでした。


結果は優勝!


始めての大会優勝。

泣きながらコートから引き上げて来る桃子を初めてハグしたのを今でも覚えています。

今の桃子があるのはこの一戦からだと思います。


空手を始め、空手を通じて他の目標もクリア出来た事に感動しました。


毎日の厳しく長い時間の稽古が、幼いながらの自分達の生活パターンに定着し始めたから出た結果だと信じています。

このハードルを超えた桃子がいよいよ次のステップに進みます。