前田又左衛門利家也。
名古屋城へ登城せし皆々よ。
大儀ぞ。
儂は此処じゃ。
我等、名古屋おもてなし武将隊は此の時期、名古屋城ツアーと称した案内を致して居る。
同じ案内為れど、武将毎に内容も様変わり。
一度の参陣でも十二分に愉しかろう。
然れども〔されども〕、其の醍醐味は八分咲き。
機会在らば幾度も参陣致し、贔屓の案内武将を見つけては如何か。
誰ぞに当たるかは当日の織田のしみ〔おたのしみ〕と致し、我等が電子日記帳を随時確認の上、当日案内の伝令を待つがよい。
織田のしみ。
御屋形様〔信長様〕からの叱責を覚悟の上での言葉遊び。正しく〔まさしく〕命懸けで此度の日記を記して居る次第。
案内に参陣せし皆々よ。大儀で在る。
昨年より、自衛隊の者等が城内の清掃に出向き汗を流してくれて居る。
本日は二度目と相成った。
屈強な男子〔おのこ〕は其れ丈で美しく、我等が時代の家臣や足軽の姿と重なり見えた。
其の方〔そのほう〕、重宝致す兵糧〔ひょうろう〕を一つ儂に教えてくれぬか。
汁掛け飯〔カレーライス〕ですかね。
大層な物を兵糧に致す。野戦の際には米は如何様〔いかよう〕に用意致すか。
飯盒〔はんごう〕にて炊きますので、旨さは格別です。
成る程のぅ。我等が時代には濡らした手拭いに米を包みし物を土に埋め、其の上で焚き火を致し用意致したものよ。現世の文明の利器には恐れ入る。
滅相も御座いません。そういえば、利家様の案内、愉しく聞かせて頂きました。
何ぞ。聞いて居ったか。
御声がすこぶる大きいので、清掃中の我々の耳にも届きました。御陰様で清掃も捗りまして〔はかどりまして〕、ありがとうございます。
何の此れしき。礼を申されたで返し刀に我が勧めの兵糧を教えよう。其れは、、、鰹節じゃ。
鰹節ですか。
左様。腹が減っても堅くて一度に食べ尽くす事が出来ぬ故、兵糧の節約にも成る。更には滋養も在り、現世で申せば〔ミネラル〕か。此れが疲れた身体に良いらしい。
えっ。鰹節は削らずに持ち歩くのですか。
左様。左様。持ち運びにも便利な代物じゃ。一度試してみよ。
我々の兵糧、、、にも役立ちそうですね。試してみます。
是非に。其れと、鰹節は当て字で勝男武士とも書ける。験担ぎ〔げんかつぎ〕にも持って来いじゃ。其の方等も我等が時代で在らば、優秀な家臣と致し我が前田家に迎えたが、現世では我等が名古屋おもてなし武将隊の家臣と致し迎えようぞ。
ははぁ。有り難き仕合わせ。是非とも又、仕事では無く子供を連れて名古屋城に遊びに来ます。
うむ。待って居るぞ。
愉しき休息の一時で在った。
此の名古屋城には、我等以外にも数多の者が、名古屋城へ登城せし客人が愉しき時を過ごせる様に日々尽力致して居る。
いついつ迄も、名古屋おもてなし武将隊含む名古屋城に携わる者等総出で、皆々が名古屋城へ参りし時を心待ちに致して居るぞ。
名古屋城へいざ参れ。
来る〔きたる〕、三月三十一日。
月に一度の十人演武〔名古屋おもてなし武将隊、十名全員揃い踏みでのパフォーマンス〕。
愉しみ勇みて待つがよい。
否。織田のしみ勇みて待つがよい。
己が自身に合掌。
名古屋おもてなし武将隊 織田家一番槍
前田又左衛門利家