どうも、バーニングマンです。
 
「仕事、プライベートで疲弊しにっちもさっちも行かなくなった大人へ」、そんな現代人の凝り固まった考えをキレイさっぱり洗い流してくれるそんな作品をご紹介。
はじめて読んだのは大学生ごろかな。
社会人になってもちょくちょく読み直すほど私にとってはお気に入りの小説です。
 
今回はあらすじと感想をまとめてみました。
なおこの作品は私の思い入れが非常に強い作品なのでネタバレを含みます。
 

 

 

 

①「プリズンホテル 夏」
 
あらすじ
流行作家として一躍人気者になった小説家・木戸孝之介。
その彼の唯一の身内に叔父がいて、これがヤクザの大親分・木戸仲蔵。
孝之介はこの仲蔵親分がリゾートホテルのオーナーとなったことを知ります。
このホテルというのがなんと「任侠団体専用」。人はこのホテルを「プリズンホテル」と呼びます。
指の無い番頭、カタコトの仲居、実直なホテルマン、天才シェフなど奇妙なホテルの中で行われる笑って泣ける2泊3日のツアー。
 
感想
シリーズ1作目。
主人公の木戸孝之介がとにかく偏屈!
継母と恋人には暴言・暴力、出会う人には嫌味を言う、自分の思い通りにならないと駄々をこねるなどの傍若無人ぶり。
 

しかし、シリーズを通して読んでいるとなぜかこの主人公が愛おしく思えてきます。

登場人物たちはどれも個性的でとにかく仲蔵親分がカッコ良い!

仲蔵親分が死なせてしまった前オーナーの子供たちの遺骨を抱くシーンが一番好きです。

仇討ちとか復讐とかを誓うのではなく、骨を取り出してポリポリとかじって「俺と一緒にアイス食おうな」とポツリとつぶやくシーンが最高です。

 

 

 

②「プリズンホテル 秋」
 
あらすじ
一大事発生!
なんと武闘派で知られる任侠大曾根一家の壮行会と酒癖の悪さで知られる警視庁青山警察署の慰安旅行がダブルブッキング。
円滑なホテル運営に実直な支配人は奔走します。
さらに落ちぶれたアイドル、往年の大歌手、窃盗常習犯など様々な人物が織りなす1泊2日ツアー。
 
感想
まず、この設定の面白さに脱帽。
ヤクザと警察が同じホテルで宴会をするなんて想像しただけで笑ってしまいます。
ここで好きな登場人物が一人、実直な支配人の息子の繁です。
彼は父親の度重なる転勤により馴染めぬ土地を転々とする少年時代を過ごした結果、反抗期を迎え暴走族になっていました。
前作の「夏」ではそんな繁がヤクザにヤキを入れられ甘ったれた精神を叩き直されるシーンがありますが、今作では徐々に男としての成長を感じることができます。
繫の周辺の話はコメディ要素が強くて笑えるんですよね。
 
 

 

③「プリズンホテル 冬」
 
あらすじ
救急救命センターの阿部マリア看護婦長は、20年以上も血の海の中を這いずり回ってきた名物ナースで通称「血まみれのマリア」。同僚の勧めで休暇を取るべく向かったのは、ひょんなことに「プリズンホテル」でした。
有名な登山家、自殺志願の少年、患者を安楽死させた医師、崖っぷちの編集者などいずれも訳ありの宿泊客たちが自らの運命を背負いながらもそれに立ち向かっていく姿が描かれます。
 
感想
今作では命について考える場面が多々あるように思いました。
雪山に自殺しようときた少年を救った天才登山家は少年に「生きるとは何か?」をぶっきらぼうですがこんこんと伝えます。
末期がんの患者を安楽死という方法で救った心優しい医師は、自殺志願者を毎日のように救っている「血まみれのマリア」と対比されていてどちらが善か悪か考えさせられます。
マリアの性格が男勝りで言いたいことは言う性格なので、チャカの手入れをしているヤクザたちを説教する場面は笑ってしまいます。

 

④「プリズンホテル 春」
 
あらすじ
極道小説がヒットしたことで極道作家のレッテルを貼られていることに苦しむ主人公・木戸孝之介。
そんな彼の作品が「日本文芸大賞」という文壇の最高の賞の候補となりました。
周囲が喜ぶなか、継母の富江が忽然と姿を消します。
暴力や暴言を振るいながらも富江のことを家族として愛していた孝之介は、その行方を案じながらも「プリズンホテル」で選考結果を待ちます。
すべてがまるっとハッピーエンドの大団円!
 
感想
御都合主義かよっ!とツッコミを入れたくなるほどのハッピーエンドで終わります。
登場人物すべてにあたたかでやさしい結末が用意されています。
勧善懲悪の小説というのは、時々読んでいて「しゃらくせえ、こんな都合よく行くかいな」と感じることがありますが疲れて脳を空っぽにしたい時は読んで救われることがあります。
 
 
まとめ
もう20年以上前の作品であるにも関わらずいつ読んでも面白いです。
多少時代を感じる部分もありますが、気にせずスラスラと読むことができます。
特に日常に疲れている方におすすめ!
熟年離婚の危機、自殺願望、仕事へのストレスなど日常の様々な悩みをヤクザや異業種の人々がいとも簡単に解決していく。
そんな場面にスカッとします。
三谷幸喜の「有頂天ホテル」を観たとき、「一緒やん!」と驚いたことを思い出しました。
この昨品はヤクザがテーマなので映像化は難しいのでしょうか?
昔、深夜にココリコ田中が花沢支配人役でドラマ放送をしていたのを見たことがあります。
その際はコメディ色が強すぎで途中で見るのをやめてしまいました。
 
浅田次郎の作品は好きでちょくちょく読んでおりました。
「蒼穹の昴」など長編歴史小説も面白かったですが、個人的にはピカレスクロマンが抜群に面白いと感じています。
こんなホテルがあれば長逗留してみたいものです。

 

 

それではお付き合いありがとうございました。