ブライアン・ジョーンズ,ジミ・ヘンドリックス,ジャニス・ジョプリン,ジム・モリスンに共通することを知っているだろうか。

 

  洋楽ファン,ロック・ファンなら少なくとも名前くらいは聞いたことがあるはずの有名なロッカーばかりだ。全員,名前のどこかに「ジ」が付くとかアルファベットの「J」が入っているということではない。確かに,それも間違っているとは言えないのだが,そんなことよりも,もっと重要な共通項がある。それは,全員,27歳でこの世を去ったということだ。

 

 もう少し詳しく見てみよう。ブライアン・ジョーンズは,ローリング・ストーンズの初期には,リーダーを務めていたとされるギタリストで,バンド名の発案者だと言われおり,ミックとキースとともに,ストーンズのオリジナル・メンバーだった。

 

 バンド結成の62年から7年間メンバーだったということは,ビートルズの活動時期と重なる。ただ,かなり早い時期から実質的にはリーダーはミックだったようだ。脱退させられた直後に自宅のプールで発見され自殺説や他殺説など議論を呼んだ。彼の演奏を記録したライブ音源はあまり残っていないし,ギタリストなら,次のミック・テイラーの方が魅力的だったこともあって,僕のような世代の人間にとっては,ほとんど忘れられた存在になっている。命日は 19697月3日

 

 同じ1942年生まれだが,学年で言えば一つ下のジミ・ヘンドリックスは,今でもロック界最高という評価が高く,超が付くほど個性的なギタリストだが,彼も,ブライアンが亡くなった翌年の1970年9月18日に亡くなっている。死因については,ドラッグの過剰摂取やアルコール中毒,嘔吐物による窒息など,いろいろと言われてきたが,彼の死にも謎が多い。

 

 もう一人,1943年1月生まれだから,ジミと同学年のジャニス・ジョプリンも,ジミの死から1か月も経っていない10月4日に亡くなった。

 

彼女の場合は,ヘロイン中毒というのが定説になっているようだ。夭逝したから天才だったと持ち上げられる人も多いのは確かだが,少なくともジミとジャニスは,ロックが一つのピークを迎えていた時代の中にあって,その才能はずば抜けていたし,何よりも,その音,声の個性は他を圧倒していた。

 

一音聴いただけでジミの音色と分かるほどの独自性というのは,誰が何と言っても天才中の天才だし,ジャニスのヘヴィで熱いハスキー・ボイスは,誰にも真似ができないと思う。そんな二人が相次いで亡くなった1970年は,少し前にビートルズが解散していたこともあって,ロックの一つの大きな時代が終わったと言っても過言ではなかっただろう。

 

 ジム・モリソンについては,もしかしたら知らない人もいるかもしれないが,ドアーズのカリスマ的リーダー兼ボーカリストで,上手いとか下手という次元を超えた世界を作っていた男だ。

 

彼は,194312月生まれで,ジャニスよりも一つ年下だが,19717月3日に亡くなっているから,彼もまた27歳だった。彼も自然死ではなく,バスタブで死体として発見され,死因は心臓発作と発表されたものの,ドラッグの過剰摂取がそもそもの原因ではないかとも言われている。

 

丁度2年間という短い期間に,ロック界のスターが相次いで27歳で死亡したことから,不気味な一致として語られていたのは確かだ。しかし,それから四半世紀も経った1994年に,人気絶頂だったニルヴァーナのカート・コバーンが27歳で死亡するに及んで「27クラブ」という考え方が定着するようになったのだそうだが,そんな名前は,つい最近まで知らなかった。若過ぎる死を悼む気持ちが,何かに呪われたに違いないと考えるのも,むべなるかな。