これだけ猛暑が続くと,出かける気力もなくなってしまう。おまけに,今年は逆走台風までやって来た。高速道路の逆走が報道されることはあっても,関東・東海地方から上陸した台風がほぼ真西に進んで行くという台風は聞いたことがなかった。被害が小さかったのは幸いだ。

 

 そんな事情もあって,録り溜めしていた映画を2本続けて鑑賞した。一本は,自動車のお化けのようなロボット型の宇宙人が敵味方に分かれてピラミッドや古代遺跡を破壊しながら暴れまわるという,凡そ映画以外では考えられない,SFアクション的な漫画の実写版のような「トランスフォーマー・リベンジ」という作品。

 

  CGを駆使しているのは確かだと思うが,それにしてもこの機械仕掛けのような宇宙人の変身シーンがおもちゃっぽくて興ざめしてしまう。昔から変身物やロボット物は少年に人気があったが,それは,ロボットの原点とも言える鉄腕アトムや鉄人28号ですら,人間ではない彼らにも悲哀や友情があることを訴えていたからだろう。

 

50年経った今でも不朽の名作SFドラマと思っているウルトラセブンには,地球人とは何か,宇宙人との付き合い方はどうあるべきかを考えさせてくれる物語としての深みがあった。

 

 ところで,トランスフォーマーとは一体何なのかと思って調べてみたら「1980年代から展開されてきた変型するロボットをテーマとする玩具・アニメーション・コミックシリーズ『トランスフォーマー』の実写映画版」とある。映画には詳しくない素人の感想だが,あまりに幼稚すぎる。

 

 製作総指揮にスピルバーグが絡んでいるというのが信じられない。確かに,映像の迫力には素晴らしい点もある。ピラミッドが破壊されていくシーンでの幾重にも積み重ねられた巨石の重量感とか,戦闘機のスピード感などについては,今流行の4DX向きの映画なのかもしれない。

 

  さらに,地球というかけがえのない星が宇宙人からの侵略にどう向き合うのかという重くて深いテーマも秘められているのだが,そうした大事なものが,安直にロボット的に変身する巨大宇宙人という設定で台無しになってしまっているような気がしてならない。楽しかったが,それで終わってしまうジェット・コースターに乗ったような気分。それも悪くはないのだが。

 

 もう一つは「2ガンズ」というアメリカの「アクション・コメディ」ものだ。諜報機関や軍隊など,実際のところ,一般人にはその実態がまるで分らない組織によって翻弄される二人の主人公の奇妙な出会い。それがいつの間にか仲間となり,家族となっていく物語。

 

  表情で演技できるデンゼル・ワシントンと,人間味のある男を演じているマーク・ウォールバーグという2大俳優の共演が最大の魅力だろう。時間の流れを少し巻き戻して見せることで,ストーリーに奥行きを持たせる手法を使っている。

 

  次々と現れる様々な組織の大物や悪党どもの関係がややこしいはずなのだが,そんなことはあまり問題ではないように展開していくので,飽きさせない。

 

普通の人間なら耐えられない拷問に,ジョークを交えながら平然とした様子を見せる2人のやり取りはこうした映画のお約束とはいえ,興味を失わせないように工夫されたシーンも多く,一言で言えば,名作ではないが快作と言ってよい映画だと思う。

 

ストーリー的にはもう一捻りあってもよいし,最後に,あのお金はいったいどうなったのかはっきりしない点は不満だが,あり得ないと分かっていながらも,個々の場面を楽しめる作品という点で,映画らしい映画だ。

 

それにしても,映画レピューの点数は意外に低いようだ。映画通には物足りないのかも。