サッカーのワールド・カップ,コロンビア戦で,大迫選手が見事なシュートを決めて「大迫,半端ないって」という言葉が改めてクローズ・アップされているそうだが,先日,民法改正案が成立して,成人年齢が18歳に引き下げられることになった。
18歳は大人というわけだが,これがどうにも中途半端なのだ。少しはがり前の話になるが,公職選挙法が改正され,選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられたときも,なんで選挙権の年齢だけが引き下げられるのかという疑問を持った人は多かったと思う。
国民の政治離れが著しく,若者の多くが投票に行かないことで,政権は,票になるお年寄りのご機嫌を伺うような政策ばかり連発するようになって久しい。18歳や19歳の若者と言えば,今どき,ほとんどが大学生だ。自宅を離れて生活している者も多く,成人式が行われる正月の直後は,多くの大学生が自宅に帰って地元の幼馴染と一緒に成人式に出たいという理由で住民票を移さない人が多く,それが,せっかく選挙権年齢を引き下げても投票行動に結びつかない理由の一つと言われている。
十分な議論もないままに,こんな法律改正をして大丈夫なのだろうかと思っていたのだが,本当かどうか知らないが,若者の右傾化が進んでいて,選挙と同時に行われることが予想される国民投票で,憲法改正を目論んでいる与党に有利に働くからだという噂もあるくらいだ。
施行されるのは4年後らしいので,まだしばらく先のことではあるが,今回の大きな改正によって,一応,18歳が大人ということになる。一応というのは,冒頭にも書いたとおり,中途半端な大人扱いとしか言いようがないからだ。
成人と言いながら,酒もたばこも禁止。別に18歳になった若者たちに酒を飲ませたいわけでもないし,たばこを吸わせたいわけでもないのだが,こんな意味不明な例外を設けるくらいなら,やっぱり成人は20歳でいいじゃないかと思う。
もう一つ,何かと批判の多い少年法の適用年齢も変わらない。元々,戦後の貧しかった時代に,ちょっとした盗みで,将来のある少年達の未来を閉ざすようなことのないようにという思いで作られた法律だと聞いているが,凶悪犯の低年齢化が進んでいて,何年も前から見直しが必要と言われているのに,こちらの対象年齢も相変わらず20歳未満。ということは,18歳と19歳の大人は少年法の適用を受けるわけで,簡単に言えば,罪を犯しても大人よりも刑が軽くなるということで,これはあまりにもおかしい。実に都合のよい大人扱いではないか。
結局,誕生日の早い高校生とほとんどが大学生である18歳,19歳の若者ができるようになるのは,ローンを組むことくらいだ。保護者である親の承諾が不要になるということくらいではないか。
未成年者の契約は取り消すことができるが,4年後からは,一旦契約したら,よほど内容そのものに違法性がある悪徳商法でない限り,簡単に取り消すことはできなくなる。内容自体は悪くなくても,彼らにローンを組ませようとする業者が増えることは目に見えている。
そして,テレビのニュースなどでは,あえてあまり言われていないのが,国民年金の支払い義務だ。今でも20歳になった大学生は,卒業までの繰り延べ手続きをしているが,それが一挙に二百万人も増えることになる。本当の狙いはこちらではないのか。それを指摘されると困るから,少年法の適用年齢を据え置こうとしているのではないかと穿った見方をしてしまう。
すっかり大人だったビートルズのメンバーのような18歳の若者は今の日本にはいない。