「ブラック」のつく曲は,意外なほどたくさんあった。色のついた曲名をシリーズ化して書くほど色の種類もないが,せっかく思いついたので,今回は,とりあえず,「ブラック」と同じ「ブ」で始まる「ブルー・青」のついた曲で,何か書いてみたいと思う。

 

 まず,ウイングスの名曲「ブルー・バード」だが,ものすごく甘いメロディに似合う昔の中学生の恋のような歌詞だ。「僕は青い鳥。君に魔法の口づけをすると,愛の力で君も青い鳥になる。一緒に自由に羽ばたこう」みたいな内容だから,甘すぎて蕩けてしまいそうだ。「青い鳥」と言えば,「しあわせの」という枕詞が付くほど定着しているが,僕達の世代だと,同じ1973年に発売された桜田淳子の「わたしの青い鳥」を思い出す人が多いのではないか。「クックックックー」という鳴き声を真似た歌詞が斬新だった。

 

小学校時代の親友が彼女の大ファンだったが,僕は,浅丘めぐみの方が好きだった。

 

 そういえば,日産ブルーバードという車があった。これも「幸せの青い鳥」に因んでつけられたらしい。今思えば,この時代が世界が一番幸せな時期だったのかもしれない。

少なくとも,幸せに憧れ,未来は明るい希望に溢れていると思っていた時代だった。

 

 ブルーと言えば,「ブルーな気分」というように,今ではどちらかと言えば「鬱で暗い」というイメージの色になってしまった。「激動の時代」とか「混沌の時代」と言われて久しいが,何となく未来に明るい希望が持てなくなってしまったのはなぜなのだろう。

 

  いつの時代にも厭世的な気分が蔓延したり,終末論が流行したりするので,特に悲観する必要はないのかもしれないが,歴史は繰り返すというように,やはり,周期的な世界戦争の足音が近づいているように感じている人が多くなってきたのかもしれない。

 

 「ブルー・スウェード・シューズ」というロックンロールの定番曲がある。オリジナルのカール・パーキンスよりも,エルビスのバージョンが圧倒的に有名だが,前にも書いたように,こういう定番曲のカバーを聴くとバンドの実力が分かる。ギター・ソロも特徴を生かすことができるし,誰でも知っている曲なのでヘマができない。簡単な曲でこそ,バンドの個性を光らせることが難しいと言われる所以だ。永遠の定番曲だろう。

 

 ビートルズには「ブルー・ジェイ・ウェイ」という曲がある。ジョージがほとんど即興で作ったらしいが,曲名は,ロスアンジェルス郊外の北方の山の中腹にある住宅地の地名だそうで,色とは直接関係がない。

 

  むしろ「フォー・ユー・ブルー」の方が気分を表しているようだが,最後に「リズム&ブルース」と歌っているところから,それにひっかけただけなのかもしれない。この2曲がともにジョージの作品というのもただの偶然だろうか。ジョンは,ソロになって「アウト・ザ・ブル―」という曲を作った。「何の前触れもなく」とか「突然」と翻訳されているが,この「ブルー」は何なのだろうか。

 突然というからには,空のことなのだろうか。英語に詳しい人がいたら教えてほしい。

 

今最も期待しているバンド「ストライプス」の「ブルー・カラー・ジェーン」は前にも書いたとおり,青い首飾りの女性を歌っている。気分とは関係ないのかもしれないが,赤でも黄でもなく,青というのに意味があるとしたら,何を表現したかったのだろう。