ビートルズのレコーディングに正式に参加したミュージシャンと言えば,ビリー・プレストンしか思い浮かばない。初期の段階では,リンゴの代わりにドラムを叩いたとか,弦楽四重奏をクラシックの奏者が演奏するとか,あるいはメンバーの妻たちがバック・コーラスに参加したとか,スタッフが何かを叩いて音を出すといったものはあったし,「ヘイ・ジュード」や「愛こそはすべて」などのバックで大勢が一緒になって歌う,といった一部参加型のものを除いて,他のバンドなどのミュージシャンが,セッションに参加した例としては,唯一エリック・クラプトンくらいしかいないのではなかろうか。

 

エリックは,言うまでもないロック界三大ギタリストの一人。ウーマン・トーンと言われる独特の音色のギターで世界を魅了してきた世界最高峰のロック・ギタリストだ。

 

 彼のセッション参加の経緯やその演奏などは別の機会に譲ることにして,早速,今回のテーマであるエリックという名前で思いつくミュージシャンを挙げていこうと思う。 

 

最初は,エリック・スチュワートだ。ビートルズのユーモアのセンスとユニークな曲作りで独自の世界を構築した10CCのギタリストにして,メロディ・メイカーと言ってもよい人だ。

 

ビートルズのメンバー達よりもかなり若いと思っていたが,実際にはジョージと2歳しか違わない。ポールのソロ作「プレス・トゥ・プレイ」で,二人が何曲か共作した時は両方のファンだった僕としては嬉しかったのに,あのアルバムが酷評され,商業的にも失敗作となってしまった。当時の流行などの時代背景だけでなく,ポール自身にも迷いがあった時期だったのかもしれないが,作品の質自体は決して低くはなかったと思うのだが,そんなこんなで二人の関係は解消されてしまったのは残念だった。

 

ビリーに続いてまたまたミスター・ビッグから,エリック・マーティン。ただのボーカリストと侮っていたが,あれだけのメンバーと組んだだけのことはあって,只者ではなかった。曲調に合わせた多彩なボーカル・スタイルで観客を圧倒する力を持っている。

 

 ビートルズと同じくらい昔のバンドだが,今でも多くの人にカバーされている「朝日の当たる家」のオリジナルを作ったアニマルズというバンドのボーカリストだったエリック・バードンは名前しか知らないが,最近は何をしているのか,めっきり噂がない。

 

 ロックというよりもポップスと言った方がいいかもしれないが,エリック・カルメンは,何といっても「オール・バイ・マイセルフ」だろう。この曲を聴いたことがないという洋楽ファンはいないと思う。この曲を聴くと,なぜか,ギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」も聴きたくなるという不思議な魅力に溢れたメロディの曲だ。

 

 ベイ・シティ・ローラーズのエリック・フォークナーは,ライブではギターを弾いていなかったと言われていたが,本当だろうか。華のリード・ギタリストだったのに,後から加入したイアン・ミッチェルやパット・マッグリンに人気を奪われてしまった。

 

ギタリストで締めるなら,エリック・ジョンソンを忘れないでおきたい。プロのギタリストが絶賛していたので,何かよくわからないままに,彼のソロ・アルバムを買った。

 

ピーター・クリスの後任ドラマーになったキッスのエリック・シンガーを忘れていた。