ストライプス、いよいよ勝負の第三作目。発売されて少し経っているが、CDは、最近、中古で買うことがほとんどなのに、新譜とはいえ、このバンドは、当然のように新品で買うことに全く抵抗がない。 一通り聴いてみた感想。

 

  出だしの「ビハインド・クローズド・ドアーズ」は、パワー・ポップとでも言いたくなるような活きのよい曲。シングル・カット曲だけに、ライブのスタートになるかもしれない。

 

  2曲目「コンセクエンス」は、冒頭のギター・リフが印象的で、ちょっと前に書いた「ピルバグズ」を想起させる。やはり、確実にビートルズの遺伝子が入っているが、「イェーイ」がストライプスらしい。

 

 3曲目「ホリデイズ」。スコーピオンズにも「ホリデイ」という名バラードがあった。曲調も違うが、珍しく、キーボードが割り込んできて、それに続いて短いながらもセンスのよいギターソロを聴いていると、一昔前の日本のロック・バンド「キンモクセイ」を思い出した。繰り返されるサビが心地よい。

 

 4曲目は、のっけからメロディがとてもたおやかな響き。ベイ・シティ・ローラーズがこんなドラムを叩いていたな。日本人受けしそうな優しいメロに、ちょっと似つかわしくない突き刺すようなボーカルとギターのバッキングがおしゃれだ。

 

 5曲目「イージー・ライディング」。これも2曲目をもっと派手にした「イェーエイ」というところが面白い。ビートルズの「イェーイェー」ではなく、後ろにアクセントがある。癖になりそうで、とても耳に残るフレーズだ。特有の裏返った声も聴けるし、味付けに入ったオルガンのようなキーボードが秀逸。ありそうで、どこにもない彼らの面目躍如といった曲だ。

 

 6曲目は、イントロのアコギとちょっとジャズっぽいエレキがうなりだし、少しずつ盛り上げてきたところで、ラップに影響を受けたような話口調のボーカルが入り、「オオ、ローズィ」という印象的なサビに持って行く。いい。ギターが控えめに弾いているところなど、若ければテクニックをひけらかしたくなるのに、曲に合わせて歌うように弾くところはなかなかできないことだ。それでも、時に激しくうなりを上げ、ラストに、ついに持ってきたホーンのセンスが素晴らしい。曲の構成をよく考えて、いい感じで鳴らせている。

 

 7曲目で、SE導入。時代錯誤とも思えるようなスローでサイケデリックなこの曲はかなり異質だ。彼らの意図は分からないが、やりたい音だったのだろう。

 

 弾けるようなドラムで始まり、ブルースハープを挟む8曲目でも、曲のクオリティは落ちないが、それにしても、ジョン・レノンに似ていたボーカル・スタイルを捨てて、自分たちの音楽に合わせた声にしてきているように感じる。

 

 続く「ゲット・イット・オーバー・・・」では、エレピのような音も聴ける。10曲目は、アップ・テンポのリフが分かりやすいが、特徴がない。11曲目あたりになると、さすがに段々と曲ごとの個性が感じられなくなってくる。少し、ワン・パターンになってきたようにも思える。

 

 終盤に来て12曲目で、まさかのアコースティック・ナンバー。ギターをシンプルに弾き流すのはわざとなのだろう。雑な音作りでボーカルを引き立てようとしているのだろうか。残念ながら歌詞の意味が分からない。ラスト・ナンバーが、原点回帰?のブルース調。最後、さすがに息切れかなと思っていたら、ボーナス・トラックで、「ジョンの魂」みたいなギター音とバシャバシャしたドラムが爽快な「ヘブンリー・ソウル」がいい。続く、「スターズ・アンド・ストライプス」も相当ヘビーでやかましいところが僕好み。お得意のあのボーカル癖もここで聴けた。

 

 まるで、ライナー・ノーツみたいになってしまったが、2作目と比べると、演奏よりも曲作りにこだわったのかなとも思える。まだ3回しか聴いていないが、続けて3回も聴けるバンドは久しぶりだ。

 

 気になるのは、ギターの露出が随分減ったように思えること。路線転換ならよいのだが。