七夕
願いの樹が燃えている。
五色の短冊を飾り付けられた笹の木が、暗闇の中で焔に包(くる)まれ燃えている。焔の色はまるで夕立直後の西日のようにとても濃く、静かな猛りを放っている。
熱いのだろう。広げた枝や葉に青さを残した笹の木は、その節目からふしゅるふしゅると泡を吹く。まだ水気が残っているのだ。
水気はさらに形を変えて、夜空へ向かい昇り始めた。煙の龍だ。山より高く、雲より高く昇る龍。星まであともう少し……思ったところで笹の木が大きく爆ぜた。
視線を落とすと、短冊は全て燃え尽き、笹の木は竹炭へと化している。
我に返り、再び夜空を見上げると、白き龍は天を流れる大河と化していた。