浅丘ルリ子、『男はつらいよ』撮影秘話 寅さんにブチ切れたリリー「あのセリフは大好き」 | 姫路のスグロホマーレ

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浅丘ルリ子、『男はつらいよ』撮影秘話 寅さんにブチ切れたリリー「あのセリフは大好き」

 

 

 

 

 俳優の浅丘ルリ子がマドンナ・リリーを務めた映画『男はつらいよ』シリーズ3作がBS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)で1月1日~3日午後7時から3夜連続で無料放送される。浅丘が、舞台のモデルとなった東京・柴又の老舗団子店「髙木屋」でシリーズの思い出を語った。

 

 

三が日、連続放送されるのは、『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』(1973年・第11作)、『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(75年・第15作)、『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(80年・第25作)の4Kデジタル修復版。また、浅丘は『ジョニ男のぶらぶら昭和。新春スペシャル』(1日夜9時)のゲストとしても登場する。  リリーはかつてレコードを発売したこともある旅回りの歌手。全国巡業中、主人公の車寅次郎(渥美清)に出会い、意気投合する。歴代マドンナでナンバーワンの人気を誇る。 「リリーさんはみんなが思っていることをはっきりと言える人。だから、みなさんが『あー、すっきりした』と思えるんですよね。そんなセリフを(監督の)山田洋次さんが書いてくださったのがとてもうれしくて、私も自分の気持ちに乗せて、セリフをいうと、スッキリします。こんなに心の中から気持ちよく芝居ができた映画って、そうはありません。リリーさんは私の宝物です。作品を何度観ても飽きないんです」  当初、オファーされたマドンナ役の設定は牧場で働く女性だった。 「山田さんには『私はそういう役をやったことないし、このメイクも絶対変えたくないんです』と申し上げたんです。すると、山田さんは『1週間ください』と言って、次にお目にかかった時にリリーさんの役を持ってきてくれたんです。釧路かどこかで巡業歌手の看板を見かけたそうなんです」  リリーは思ったことを口にする勝ち気さの一方、繊細さも併せ持つ。台本を読んだ浅丘はすぐに気に入った。 「言い回しも私に近く、無理がなかったので、『私、このままやれますから、いつでも出ます』と申し上げました。山田さんは、私には自由にやらせてくださいました」  リリーは今回放送の3作の後も、渥美さんの遺作となった48作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』(1995年)、49作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』(97年)、50周年記念の50作『男はつらいよ お帰り 寅さん』(2019年)にも出演している。 「リリーは私にすごく近かったので、これだけ続けられたんだと思います。長く仕事はやってきましたが、こんなにうれしいことは滅多にないです」  一番のお気に入りは出演第2作『寅次郎相合い傘』。初夏の北海道で再会を果たした寅次郎とリリーの物語だ。2人の関係は結婚一歩前まで進んでいく。 「寅さんが長々と私(リリー)のこと言うシーンがあるでしょ。『もしふんだんに銭があったら、リリーの夢を叶えてあげたい。歌舞伎座や国際劇場を借り切って、あいつに好きなだけ歌を歌わせてやりたいな』って。ここが大好きで、ここがあるから、リリーさんのことが分かるわって。だから、すごくうれしかったんです」

柴又・とらやで切り分けたメロンの数が足りなかったことから、寅次郎が騒動を起こす名場面もある。見かねたリリーは寅次郎にブチ切れる。 「メロン騒動の、あのセリフは大好きです。『甘ったれるのも、いい加減にしやがれ』とべらんめえ口調でタンカを切るのも気に入っています」と振り返る。  実は渥美清さんとは撮影中、あまり話す機会はなかったのだという。 「あの方もお疲れだったと思うんですよ。セットの向こうにあった畳敷きの部屋で、お休みになっていました。個人的なことはお話していません」  寅さんファミリーでは、諏訪博(前田吟)の存在が好きだという。 「すごく重要だと思うんです。顔もいいですし、セリフ回しもいい。寅さんのことやみんなのことを思っている。見る度に、こういう人が側にいたらいいなと思うんですね。それとリリーさんはとらやのみなさんにはとても好かれていたと思うんです。じゃないと、何度も行けないですよね」  寅さんファミリーでは、渥美さん、太宰久雄さん、佐藤蛾次郎さんらが亡くなっているが、「寂しいですよね」とぽつり。自身は元気にみなぎっているが、「秘けつと聞かれても、何もしていません。風邪も引きませんし、どこか痛いところもありません。だから、元気なんでしょうね」と笑う。  リリーは今頃、何をしているのか、と聞くと、「今も、どこかで元気にやっていると思います。私も、今すぐリリーさんをやってくれ、と言われたら、ちょっと服やアクセサリーを変えれば、なれますよ。リリーさんは今も私の中にいますから」と笑みを浮かべた。 □浅丘ルリ子(あさおか・るりこ)日活映画『緑はるかに』(1955年)でデビュー、芸名はその時の役名で、画家の中原淳一が命名。日活では小林旭、石原裕次郎映画のヒロインをつとめ、同時に蔵原惟繕監督の『夜明けのうた』『愛の渇き』などの映画に主演。