久方ぶりに「煮干しラーメン山岡家」を訪れた。

 

すぐに目に入った店頭サインに躍る「冷製」の文字。
その名も「あぶり鱧(はも)の梅煮干しラーメン」。

 


鱧をラーメンの具材にするとは、関西ならいざ知らず、ここ関東では極めて珍しい。

看板の煮干しに、梅と鱧というダブルの変化球。
限定メニューゆえ、迷わず注文することにした。


 

着丼した一杯は、実になんとも涼しげな佇まいだ。
中央には、「大切り」の玉ねぎが散らされている。

脇を固めるのは、のりと多めのかつお節。

梅の粒は載っていない。



そして主役のあぶり鱧が、手前端に一切れポツンと添えられている。


まずは、注目のスープから。


 

一口啜れば、……これは梅味だ。
 

梅酢のような強烈な酸味が先陣を切って口の中に飛び込んでくる。
後から醤油の風味が追いかけてくるが、私の「味おんち」な舌では、
看板であるはずの煮干しの味を見失うほどに梅が勝っている。

 

麺は、冷水で締められた細めのストレート麺。
カッチリとした歯ごたえがあり、この酸味の強いスープをしっかりと手繰り寄せてくれる。

特筆すべきは、この大切りの玉ねぎだ。
シャキシャキとした食感と瑞々しさが、スープの酸味と実によろしく合致している。
包丁の切れ味が良いのか、切り口が鋭く、口当たりがとても心地よい。


 

そして、あぶり鱧。
よく噛み締めれば、鱧特有の繊細な風味と、炙りの香ばしさがじわりと広がる。
素材そのものは非常に美味しい。

 

ただ、食べ進めるうちに少々バランスが崩れてきた。
中盤から濃い梅の酸味と濃い醤油の味が口の中で喧嘩を始め、
せっかくの鱧の繊細な味が飛ばされたしまった。

かつお節やのりも個々に旨いのだが、全体が合わさると、完全にぶつかり合って「荒々しい」味に変化してしまう。

 

面白いチャレンジメニューではあるが、梅の主張をもう少し抑えれば、
鱧と煮干し、鰹節、タマネギ、ノリなどとの協奏曲が、より鮮明になったのではないか。

とはいえ、この時期にしか味わえない、野心的な一杯であったことは確かだ。


あぶり鱧の梅煮干しラーメン
 7.25点 990円
煮干しラーメン山岡家 久喜店
 埼玉県久喜市西453-1