わたしは27歳直前に大阪から田舎へ帰り、家の商売を継いだことは何度も書いています。

 

その後二年目から盆栽の修業を始めたことも、何度も書いていますが、家の商売と並行して、盆栽の商売も、自分で出来るだけのことはしてきました。

 

理屈好きの性格から、盆栽の奥義を掴みたいといろいろやってきましたが、それに付いては、多分わたしが三度生まれ変わって繰り返し盆栽修行をしなければ、不可能なことだと解りました。

 

田舎の三年、都会の昼寝

 

と言う言葉が有りますが、田舎でいくらもがいても、いくら何度も何度も都会へ出かけて見分しても、都会に住んで昼寝をしている人には適わない、という言葉ですね。

 

田舎の青年が、一流の盆栽家に成るには、徒弟制度の下一流の盆栽屋で六年以上修行して、手入れの技を身に付け、また一番大事な審美眼を身に付けないとできないことであり、田舎で27歳で盆栽を始めても、行き着く先には限度がある、ということなのです。

 

ある本で昔の盆栽の話を読んだことがありますが、サツキ盆栽の世界で、葉を見ただけで大方の品種名が判るような人は、まず尋常小学校卒業後に修行を始めたような人に限られる。 成人してから始めた人には無理なことなのだ。 との文が有りました。

 

考えてみれば、ピアノ演奏にしても、バイオリン演奏にしても、クラシック、バレーにしても同じようなことが言えそうです。

 

そのようなことから、一流の盆栽家を、雲の上の人としてしか認識していなかったわたしは、その後蘭の栽培を30代で始めても、蘭の奥義を窮めるようなことは、最初からあきらめの心境で始めました。

 

ただ、上手に育てることだけには気を使いました。

 

お陰で培養は一応できるようになったのですが、審美眼には今でも全然自信が有りません。

 

「これは素晴らしい蘭ですよ」、と一流の専門業者に勧められても、「あぁそうですか、それで値段はいくらですか」としか問えません。

 

端的な例なのですが、或る一流業者(全国で最も権威のある展示会で、最高賞を受賞するほどの人)から、「これは将来素晴らしいものになるから、育てていて下さい」、と言われて、育てていましても、自分ではどこが良いのか全然解らなくて、育てるのは得意ですから何年間か育てていますと、その専門業者が全国大会へ出品して大臣賞を受賞したりしているのです。

 

そしてまた、全国でも有名な目の肥えた業者や趣味者が、それらの蘭を懇望して、その業者から購入したりしているのです。

 

そのようなことが何度かありますと、自分でも、「蘭に対する審美眼は自分には無いのだ」、と自信をもって言えるようになりました^^;

 

そしてもう年齢的にも、それらの信念は覆ることは無いでしょうね ^^

 

そんな中ですが、蘭を育てることは楽しいのですね。 小さな子が段々大きく成り、見た目も立派に成るのは楽しみなことなのです。

 

そこで今回挙げます蘭は、何十年の蘭栽培の中で、初めて育てる蘭で、高額なものでは全然無いのですが、急に斑入りの柄が目立ってきましたので、今後どうなるのか興味が有るのです。

 

羆覆輪(ひぐま・ふくりん)  という名前が付いた富貴蘭なのですが、買った時より派手な柄に成って来つつあります。

 

この種類は派手になると育たない、と聞いていますが、詳しく無い者が見た目としては、奇麗に成ってきているようです。

 

不安と楽しみが混交してきますが、さてどうなるのでしょうか?

 

蘭を判別する目は無いのですが、こんな小さな変化を発見するのも、蘭を育てる上の楽しみなのですね。

 

と言いますか、何時の間にか楽しみになってしまっていたのでした。

 

春蘭の植え替えもぼつぼつ始めました。 今年の第一号。 相変わらず良く育っています。 子が出過ぎて困りますが。