大森実著「ケネディー」は、キューバ危機から書いて行こうと思います。

 

しかし何時もながら、具体的に書く気力はどこからも湧いて来ませんので、簡略に致します。

 

まず、キューバ危機に対してのJFKの行動ですが、これはやはり特筆すべきものが有るのですね。

 

それは、文字通りの国家挙げての全力投入と言う体制作りです。

 

アメリカの実行できる全て、全世界からの動員と言いましょうか、良く戦争に於ける作戦で最悪なものは、戦力の逐次投入、ということが挙げられますが、それの真反対の体制をJFKは採ってソ連のフルシチョフに挑みます。

 

具体的には全米の全軍隊に動員命令を出し、海上にも万全の守備攻撃態勢を整えて、フルシチョフにも少し、ここしかないという和解出口を見せて「さあどうする」と迫るのですね。

 

フルシチョフも人間ですから、そこまでやられると・・・という事で、ソ連のミサイル運搬船をUターンさせます。

 

フルシチョフの残された選択は、もう全面戦争及び核戦争か、和解しかないのですからね。

 

この間ロバートもソ連側との折衝に奔走しています。

 

この付近のことはフルシチョフの回想録やロバートの回想、シュレジンジャーなど大統領補佐官の回想などで(行き違い記録も多いようですが)残されているのでした。

 

此処に至るJFKに付いて、著者は大統領の覚醒、ということを挙げています。

 

JFKが歴史に残る大統領JFKとして、覚醒したのだ、と評価している訳です。

 

この間JFKとその周辺を固めるシンク・タンクが度々登場しますが、シンク・タンクとは、考える戦車、と言う事なのですね。

 

あぁそうか・・と、この程度の英語ならわたしにも解りますから、妙に嬉しく納得したりしたものでした。

 

キューバ危機を、こんなに簡略に記してしまって・・・とも思いますが、次は国内の産業界を代表されるUSスチール、ブラウ会長との戦いがあります。

 

此処でもと言うより、ここでより以上にJFKは覚醒した姿を見せるのでした。

 

JFKの本来は、産業界に対する多少の弱腰が有ったようなのですね。

 

しかしUSスチールの、JFKを下世話に言えば舐めたような値上げ予告は、JFKの態度をむしろ覚醒させてしまうのです。

 

産業界を真っ向に回し、今度は本来然るべく全国民を味方に付けて、戦いを挑み勝利します。

 

そのような時期、いよいよJFKの最期が訪れますね。

 

結論から言いますと、著者の記述では

 

「オズワルドは凶行後(ここでは直接の犯人をオズワルドと断定しています)自宅にたちもどったところを警邏中の巡査チビットに誰何されてチビット巡査を射殺した。

 

そして逮捕二日後に郡の刑務所に移送される直前、ルビーというナイトクラブ経営者がオズワルドを射殺。

(この場面は何度も報道写真で見たものです、当時、アメリカの暗黒部分を象徴するようなできごとでした)

 

以後、この事件に関りをもった十数人の謎の死がつづき、大統領暗殺事件は迷宮に入ってしまった」

 

となっています。

 

そして、その日の朝のダラス・タイムズ・ヘラルド紙の「ミスター、ケネディー歓迎」の広告が黒枠で囲われていたことなどなど、ミステリー性は底なしの沼のように成っていて、不可解な材料は沈殿したまま誰もが手の付けようのない解決不可能なままの様相です。

 

また反面CIA内にも、暗殺指定の外国要人は数名数えられるのですが、JFK大統領から禁止中止命令は出ていないままである、とされています。

 

つまりが逆から考えれば、アメリカ大統領という地位は、誰にでも命を狙われる立場にあった訳なのですね。 有能な程。

 

現在でもこのCIAによる暗殺指定というものは、在りそうな感じがしますね。 逆のアメリカ向けはともかく。

 

わたしは大森氏が、もっともっと個人としての見解を書かれるのかと思っていたのですが、それはやはり公の刊行文書としては無理な話だったのですね。

 

まるで核心の周りをグルグル回る人工衛星のように、いろんな角度から見える状況風景を書かれていますが、そこまでがやはり限界なのでしょう。

 

読みながら、これでは誰に聞かれても、筋の通った話は出来ないという事のみが判ったようなことでした。

 

しかし現実には、実行犯が居て、それを計画した人間(多分複数の)が居たことに間違いは無いのですね。

 

それが解明できないとなれば、それを阻止しようとする組織が在ったということも、否定できないのがアメリカなのでしょう。

 

そしてJFK,RFKの兄弟は、公民権運動など含めたアメリカ社会への理想に燃えた兄弟であったことには、歴史的にも異論の余地は無さそうです。

 

ベトナム戦争への道への関わり方は、書かれていませんでした。

 

ジョンソンからニクソンへの道以前について、すこしは語られているかと思ったのですが・・・。

 

以前からわたしの中に、ベトナムに対するJFKの消極性が、或る方面に大きな障害と成っていて、生まれた結果では?との思いが有ったものですから。

 

そしてマリリン・モンローとのことも、この本では書かれていませんでした。

 

風蘭のちょっと変わった花ですが、2年前に見ただけでその後は花が咲きません。