WBC決勝の9回表、大谷対トラウトの勝負は見ごたえのあるものでした。
わたしはまず最初、大谷の心理状態が気に成っていたのです。
この大一番と言えばこれ以上ない大一番で、大谷が力み過ぎず、持てる力のどの程度まで発揮できるのだろうか・・・。
そのことが、マウンドに上がって来た時から気になって、表情など見ていたのですが、最初の顔の表情はやや力みが感じられるような気もしました。
そして、次にトラウトの表情が写りましたが、この時、実はトラウトの方がむしろ硬くなっているような感じを受けたのですね。
~ そうか・・・攻守というが、この場合は大谷の方が攻めていて、トラウトは受ける方になってるのでは・・・~
二人の表情からそんな感じが持たれました。
大谷とトラウトのキャリアからしても、やはりトラウトの方が何となく守るものが多いようにも感じられるのですね。
しかも舞台は地元アメリカ。 大谷は同僚トラウトに全力で攻めの投球をしましたが、トラウトとしては、他球団の選手と違って、大谷のそのような投球をバッターボックスで受けるのは初めてのことだったのだろうと思うのです。
しかも9回2アウトで、1点リードされていますから、ホームランを打つか2塁打か、とにかく同点に直接繋がる打球を打ち返すことが必要となります。
そんなトラウトに、真っ向から向かってくる大谷の、見たことの無い球筋。
何球目でしたか左へ曲がるスライダーをトラウトは見逃してボールの判定に成りましたが、最後のスライダーはそれよりインサイド寄りから、より凄まじい球威で左へ曲がりました。
この時のトラウトの空振りに、何となく力の弱さを感じたのはわたしだけでしょうか。
せめてトラウトが、それまでに二打席くらい大谷の球を見ていれば、多少なりとも球筋が目に残っていた筈ですが、全部が初めての、しかも大谷としてもこれ以上ないほどの超劇球。
大谷は良い意味で開き直って、実力の100%を捕手のミットめがけて投げ込みました。
最後、心臓が出そうに成ったと言っていましたが、体が固まったのとは反対の、能動的な爆発に心臓も飛び出そうになったのでしょう。
三振の後のトラウトの表情は、悔しさを通り越して、少し哀しみさえ感じられるほどの表情に見えました。
トラウトとしては、余りにも突然に始まり突然に終わった我が立場に、感情の持って行く場所が自分でも見つけられなかったのでは・・・。
しかし試合後にインタビューを受けるトラウトの表情は、既に落ち着いたものが感じられました。
天駆けたような大谷の投球を思い出すにつれ、彼は人間では無いのだ、と自分に納得させたようにわたしには思えたのです。
そしてせめてトラウトに、フェンス際にまでとどく程の大フライを打ち上げさせてやりたかったなぁ、と思うのですが、やはり勝てたからこそこんなことまで思えるのですかねぇ。
全くの独善感想でした。
しかしサッカーのワールドカップにしても、最高レベルの人間の最高のプレーは、美しくて、人を惹き付けるものですね~。