写真の植物は万年青(おもと)です。 或る方から頂いたものです。

 

或る日知り合いの人から久しぶりに電話が有りまして、「知人が先ごろ亡くなったが、盆栽が数鉢ある・・買い取ってくれんか」ということでした。

 

車で出かければ30分ほどの海辺の町ですが、そのような話があれば商売柄興味が湧き、まず出かけることにしているのです。

 

到着後、知人が農家の裏へ案内してくれ、盆栽たちを見ましたが、残念ながらわたしの欲しいものは無く、買取りはじんわりとお断りをしました。

 

このような場合、ほとんど買取り話が成立することは無いのです。

 

①  まず最初に、買取り意欲が湧いてくる程の盆栽かどうか・・・、という課題が生じてきます。

②  次に買取り価格に付いての話し合いがあるのです。

 

しかし① の段階で、課題をクリアする品物は余り多くありません。

 

やはり商売の対象に成り得る、或るレベル以上の品物というものは、そうそう無いものなのです。

 

とは言っても、過去には何度か商談成立して買取りをしています。

 

多い時には鉢数が250鉢位の時も有りましたし、金額的にも ~こんなに払って大丈夫かなぁ~ と自分で不安になるようなことも有りました。

 

このようなケースの商談成功率は、30%位のものでしょうか。

 

過去の経験から、お断りする方が慣れているくらいですから、相手を気遣って「今回はわたしの商売には合わないようで・・・」と、低姿勢でお断りしたのです。

 

「そうか・・それはわざわざ来てくれたのに・・残念やのー」

 

知人は残念そうにしていましたが、わたしの態度に諦めたようでした。

 

帰ろうとしていると、そこの家の奥さんが「わざわざ来てくれたのに・・・この万年青でも持って帰ってください」と、庭先に並べられた万年青を指して言われます。

 

わたしは、そりゃあ悪いから・・とお断りしたのですが、どうしても・・・と言われ、じゃぁ二つだけお言葉に甘えて・・・と言いましたら、わたしの車の横まで自分で持ってきてくれたのが写真の万年青なのです。

 

正直な話、金額的な値打ちはほとんど無いものなのですが、奇麗に葉を洗って、良い土に植え替えました。

 

下の葉の葉先が焼けたりしていますが、もう一年、ことし一年育てていれば、奇麗な葉ばかりになりそうです。

 

そうしたら店に出そうかと思っています。

 

偶には「引っ越しをしたから・・・」と言って、玄関に飾る万年青を欲しがるお客さんも来るのです。

 

引っ越しをした時、まず一番に万年青を飾ると、その家での仕合せが続く、との風習が有ります。

 

もう2~3年育てていますが、もう一年育ててやれば、その内、喜ぶお客さんも現れるかも知れません。

 

 

万年青ついでの話ですが、昔わたしは若いころも、万年青を数鉢育てていました。

 

わたしの長男が小学校一年生の頃です。

 

小学校の友達が一人来ていて、万年青置き場の横を二人が通る時、長男が友達に言いました。

 

長男「これなにか知ってるか?」

 

友達「知らん」

 

長男「万年青よ」

 

わたしはハウスの近くに居ましたが、それを聞いててとても可笑しく、思わず吹き出しそうになりました。

 

小学一年生が、小学一年生の友達に真面目な顔で「万年青よ」と教え、その場を通り過ぎる二人が、とても可笑しくて面白かったのです。

 

おそらく長男は覚えてはいないとことと思いますが、万年青と言えば、すぐにこの思い出がわたしの頭の中では再生されてくるのです。