本も毎日読んでいます。最近は余り面白い作品に巡り合いませんで、今から書く内容も、小説のここの部分だけが少し面白いだけで、他はあまり興味を惹かれない内容でした。
勿論、面白い面白く無いと言いましても、わたしにとって・・ということでして、わたしが面白く無くても、世に認められた素晴らしい作品は多く有ったのだろうとは思います。
作家石川淳さんの「小林如泥」という小説からの一説です。
冒頭 寛政九年(1797)二月、出雲の国松江大工町に住む指物大工小林安座衛門は藩主松平七代治郷から剃髪を命じられ、如泥(じょてい)の号を授けられた。
とありますが、この如泥と言う人、天才的な指物大工であり、また木彫家でもあります。
一説に、如泥は酒屋へ行くにつけて、五枚の板を所持して出かけ、酒屋に付くやそれを組み立てて升を作り、自らの酒はその升に入れて飲んだが、升の外へ滲み出る酒は皆無だった。
そしてまた、帰りには升を五枚の板に分け、懐へ入れて帰った。 とありますが、少しパホーマンス的洒落っ気の強い人だったようでも有ります。
そんな如泥が藩主から木彫の依頼を受けます。 題材は鼠の彫り物で、これは藩内へ新たに登用された彫り物師とその技量を競わせるというものでした。
そして審判は猫にさせるというのです。 猫がどちらの木彫を鼠と判別するか、ということです。
審査の日がきました。 座敷に並べた鼠は白っぽい色と黒っぽい色に掘られて並べられています。
審査員の猫が箱から出されましたが・・、猫は迷うことなく黒い鼠に飛び掛かり、これを加えていずこともなく走り去ります。
この黒い鼠は如泥の作品でしたが、如泥は、鰹節に鼠を彫ったということでした。
子供の頃三つ違いの弟と賭けをして、わたしが勝ちましたが、そのことを父に自慢げに言いましたら、父は仕事の手も休まず「それは賭けとは言わんのじゃ」と言いました。
わたしがちょっとインチキっぽい勝ち方をした時でしたが、この話を読んでいて、ふとその時のことが懐かしく思い出されてきました。