昨日20日、通常国会の幕が開きました。

 

 安倍首相の髪は少し白いモノが増えたかなという印象でしたが、元気に施政方針演説を語っていました。

 

 昨年末は「桜を見る会」「公職選挙法違反容疑での大臣辞職」、そして「IRカジノ贈収賄疑惑」など立て続けに安倍政権にとって“不都合な真実"が世間を賑わせたのですが、国会が閉じていたことなどもあり当事者や本人はどんな説明をするのかなあと思っていたんですが・・。

 

 そして国会の初日と言う事もあり、<公職選挙法違反容疑>の元大臣や当事者達も雲隠れしていた姿を現しましたし、<IR収賄容疑>のかかる議員も現れました。

 

 彼等に共通していたセリフがあります。

 

「ただ今、捜査中なので支障がないように説明は適当な時期に・・」という逃げ口上です。

 

 実に不思議な言い訳をさも当然の様に語るものです。

 

 例え警察や検察が捜査していようが、自分が無実で清廉潔白であるならば疑惑を持たれている案件に関して、自分に投票してくれた有権者や国民に対してイチイチ事細かに<誤解を受けている点>を説明すべきでしょう。

 

 彼等がその事を語ったとしても、嘘を言わない限り、後々捜査陣に支障を来すことは無い筈です。

 にもかかわらず、「捜査に支障を来していけないので」と語り、真実を語ろうとしない姿こそがー

 

<私は悪い事をしてしまい、公職選挙法違反になる可能性が高い。後々、逮捕された際に言質をとられたくないし、裁判で不利にならないためにも、今は何も語らない>

 

 ーと言っているようなものでしょう。

 

 確かに疑惑を受けている問題は微々な問題です。

 ですが、国民の代表として法律を創る重職を担う使命を持つ国会議員が自ら法律を破る事は決して許されず、省みて己の心に恥じるところがあれば、迷うこと無くハラを切るのが日本の武士というもの。

 

 彼等は所詮、武士(モノノフ)ではなく、名誉と権力が欲しいだけの政治屋ということなのでしょう。

 

 そして安倍総理の施政方針演説に戻りますが。

 

 日本の新聞で、<右>と<左>を代表するような産経新聞と朝日新聞が全く違う視点で安倍総理の演説に注目して、今朝の紙面に意見を綴っていました。

 

 先ずは産経新聞です。

 

 

(産経新聞【主張】 1/21 5:00)

『首相が国会で、日本が直面する難題とその打開策を正面から説かないでどうするのか。

 

 通常国会が召集され、安倍晋三首相が令和初の施政方針演説を行った。だが、国の基本に関わる皇位の安定継承問題への言及はなく、安全保障の根幹をなす対中政策についての説明は不十分だった。極めて残念だ。国会での活発な論議が必要である。

 

 首相が演説で、「全世代型社会保障制度」実現を目指して改革の実行を約束し、東京五輪・パラリンピック成功への協力を訴えたのは当然だ。衆参憲法審査会で具体的な憲法改正案を示すことが「国会議員の責任」だと呼びかけた点もうなずける。

 

 皇位継承は「国のかたち」そのものに関わる。男系(父系)継承が貫かれてきた最重要の原則が国民に広く知られていない問題がある。首相は過去の国会などで「男系継承が古来、例外なく維持されてきた重み」を語ってきた。具体的な安定策の検討に入る今年こそ、さまざまな機会をとらえて国民に説いていくべきである。

 

 日中関係を首相は「地域と世界の平和と繁栄に、共に大きな責任」を有すると位置づけた。「首脳間の往来」に加え、あらゆる分野で交流を深め、「新時代の成熟した」関係を構築するとした。

 

 このような前のめりの姿勢は危うい。中国は尖閣諸島を奪おうと狙っている。南シナ海の軍事化を進め、台湾を軍事的に恫喝(どうかつ)している。新疆ウイグルやチベットでの人権弾圧や香港問題はなんら改善していない。米中対立も根本的な解決が図られていない。

 

 首相が述べた「首脳間の往来」は習近平国家主席の今春の国賓訪日を含んでいるのだろう。だが、日本の島を狙い、人権弾圧を繰り返す最高責任者の習氏をなぜ国賓として招くのか。首相の演説は納得できる理由を語っていない。都合が悪いことはなかったかのようにされても困る。

 

 政治や行政への不信を招く問題もそうである。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件や昨年10月に公選法違反疑惑で辞任した元閣僚2人らの問題、「桜を見る会」をめぐるずさんな公文書管理への言及を避けたのはおかしい。扱いを誤れば国民の不信が一層増し、国政の停滞を招く。首相はもっと丁寧に国会や国民に語りかけるべきだ』

 

 

 皇位継承問題と対中政策に関して重要視し、「IR疑惑」や「桜を見る会」の問題等は最後の5行で済ませていました。

 

 一方、朝日新聞は。

 

 

(朝日新聞 1/21 5:00)

『通常国会が20日、開会した。安倍晋三首相が「公私混同」と批判を受けている「桜を見る会」問題や政権が推進してきたカジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件など「疑惑国会」の様相を呈する中でスタートした。

 

 首相は20日に衆参両院の本会議で施政方針演説に立った』

 

 

 産経新聞が最後の5行で取り上げた数々の疑惑を真っ先に持って来ています。

 

 私は産経と朝日の両紙とも重要な問題を指摘していると思います。

 産経新聞が取り上げた<中国の習近平国家主席を何故、国賓で招くのか?>という問題は以前にも本ブログで取り上げましたが、国内で多くの人権無視、弾圧とも思えるウイグルやチベットの問題、そして香港。

 

 今、中国は日本やアメリカとは真逆の価値観に基づき国家権力が国民や地方の民族を圧倒的な力で封じ込めようとしています。

 日本にとっては尖閣諸島の領海侵犯などは日常茶飯事のことになっています。

 にもかかわらず、<国賓>として訪日を要請するのは一種の朝貢外交と言えるのではないでしょうか。

 

 中国は大国だ。怒らせると怖い。だから機嫌をとって習氏を接待した方が国益に適うのだ・・と現政権は考えているのかもしれません。

 しかし本当にそうしたコウモリ的な外交姿勢が日本の国益に資するのでしょうか。

 私は首相が誇らしげに語った日米の同盟関係も決して万全のものではなく、あくまでもアメリカの国益重視のモノサシで作られた安全保障体制だと考えていますし、日本の現状を見れば米軍の占領状態の本質はサンフランシスコ講和条約以前とさして変わりないものと考えています。

 

 ですから、トランプのような大統領が現れればいつ何時、日米の同盟関係が傷つき破綻を来す状況になるかも知れないのです。

 

 ましてや中国です。

 日本の領海や領空を侵犯し、軍拡を続けて脅し続け、民主主義陣営とは真逆の独裁政治を維持する国家であることは今更言うまでも無いでしょう。

 最近でこそ反日姿勢が緩んだように見えますが、これもアメリカとの激しい貿易戦争を行っている中で中国側が<今は、日本を懐柔した方が得>と判断したからに違いありません。

 

 右を見て笑顔で接しても、左に向き直った時には強面側になっているのが中国という国なのです。彼の国と付き合うのはそう簡単にはいかないでしょう。

 今は機嫌をとった方が得策だと思ったかも知れませんが、その判断が日本の評判を落とすことだってあるでしょう。

 

 アメリカやEUなどの諸国から<日本と言う国はヌエみたいだな>と思うかもしれないのです。

 (※因みにヌエとは日本の古くから伝わる妖怪。頭はサル、胴体は狸、尾は蛇、手足は虎。要するに正体が掴みようがない、という例えです)

 

 誇りと名誉を重んじる国家である日本が、将来、世界の中でどんな評価を受ける国家たり得るか。習近平氏国家主席を<国賓>として招くかどうかはその評価に一定程度の影響を及ぼすに違いありません。

 

 2020年は東京五輪もありますし、いずれ解散総選挙もあるでしょう。

 野党は今国会で数々の疑惑追及を口にしていますが、野党共闘の提携は今以て上手く行っていません。

 端から見ていると、ビンの中の大海で乗り合わせた者達が主導権を争うために梶棒を取り合っているような・・。

 

 今年行われる可能性が高い総選挙の蔡、誰に一票を投じるか、私たち有権者は今の内からよくよく考えておいた方が良いかも知れません。