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 今、日本は韓国との間で様々な懸案事項を抱え多くの政治家と国民は<韓国人は厄介だ!>という概念を強めていると思います。
 ところが、その韓国よりももっと厄介なのはロシアでしょう。
 と言うのも、昨日、日本の河野太郎外相とロシアのラブロフ外相は北方領土問題に関して会談をしたのですが、会談後、ラブロフ外相はー

《日本が<北方領土>と呼んでいる島々はロシアの主権下にある領土「南クリール諸島」である事を受け入れろ!》

 ーという趣旨の記者会見を行ったのです。

 ロシアの報道官は前日に外相会談後の記者会見後に河野外相が出席を拒否したと怒りの発表を行っていたのですが、昨日のラブロフ外相の言い分を知り、その理由が明らかになりました。

 

(産経新聞2019.1.15 00:46)
『日露外相会談後、記者団の取材に応じた河野太郎外相と、記者会見したロシアのラブロフ外相の発言要旨は次の通り。


 ■河野氏

 平和条約問題について、時間をかけて議論し、安倍晋三首相の訪露に向け準備を行った。長年、未解決の困難な問題だが、自らの手で終止符を打つという両首脳の決意を踏まえた真剣な議論となった。

 森健良外務審議官とモルグロフ外務次官に頻繁に協議を行わせ、交渉責任者の外相同士で節目節目で議論の進捗(しんちょく)を確認することで一致した。15日に森、モルグロフ両氏が協議を行う。

 交渉では、領土問題を含め日本側の考え方を明確に伝えた。ロシア側もロシア側の考え方を具体的に伝えてきた。真剣かつ率直なやりとりだった。今日の議論についてはそれぞれが首脳に報告する。

 経済は、先月の貿易経済に関する日露政府間委員会でのやりとりを踏まえ、8項目の協力プランを含む経済分野での協力が着実に進展していることを確認し、さらなる貿易投資拡大に向けた方策を議論した。

 意見、主張の違いは当然あるが、双方が折り合える一致点を交渉の中で見つけていきたい。首脳の合意を受けてしっかりと前へ進めていこうという手応えを感じたと言ってもいいかもしれない。

 ■ラブロフ氏

 平和条約締結に向けては、ロシアと日本には本質的な隔たりが残っている。しかし、両国関係を正常化するという両国首脳の意思が私たちの議論を活性化させる。

 河野太郎外相に「第二次大戦の結果、南クリール諸島はロシア領になったことを日本が認めない限り、領土交渉の進展は期待できない」と再度、伝えた。反論は聞いていない。

 河野氏に「北方領土という呼称はロシアには受け入れがたい。日本の国内法に北方領土という呼称が規定されている問題をどう解決していく考えがあるか」と伝えた。島の主権をめぐる問題については議論されなかった。
 
 日本が米国に対してどの程度自立することができるのか尋ねた。河野氏は「日露平和条約交渉は、他国の願望ではなく、日露両国の利益に基づいて進められる」と述べた。

 日露両国は、南クリール諸島での共同経済活動が目に見える形で実現されるように、より意欲的なプロジェクトが関連分野で行われることに合意した。ロシアは、日本とのビザ免除制度について異存はない』



 恐らくロシア側が斯くも強硬に北方領土の帰属を小五月蠅く主張しているのは、昨年末から日本が韓国との間で揉め続けている現状を踏まえてのものだと思います。国益のかかる国家間の交渉事では相手の弱みにつけ込むのが常道だからです。

 ロシアのプーチン大統領と日本の安倍首相は22日に日本で首脳会談を行う予定です。
 
 今までのやりとりを振り返れば、二人とも日本側が北方領土と呼び、ロシアが南クリール諸島と呼ぶ4島に関して、日本に返還しなければならない、あるいは返還してやる時期に来たと考えている筈です。
 しかし日本が北方領土と呼ぶ4島の帰属に関しては第二次大戦で日本が敗れ、その結果、放棄した領土の一部であるとの認識がロシアとは天と地ほどの違いがあるのです。

 その原因が何処にあるかと言えば、本ブログでも何度か書いてきましたが、日本が独立をはたしたサンフランシスコでの「対日和平条約」が成立した際、ロシア(旧ソ連)は出席を拒んだために日本とソ連の認識が全く違っているからです。
 
 しかもそうなった本当の理由は米ソの間で深刻な冷戦状態にあり、朝鮮半島では中国とソ連が後押しする北朝鮮と、アメリカが押す韓国が戦争の真っ最中でしたから、サンフランシスコ講和条約の内容は実に曖昧な書き様になっていたわけです。

 更に、鳩山由紀夫さんのお父さんが総理の頃にはソ連との間で領土問題も解決しそうだったのですが、アメリカが<日本がソ連と仲良くして北方領土問題をアメリカの了解無しに手打ちをするなら沖縄はこの先ずっと日本には返さないぞ>といった脅しをかけ、その交渉をご破算に追い込んだ顛末もありました。

 そうした経過を踏まえ、日本は<ソ連が戦争のドサクサで北方領土を不法占拠された>と国民に言い続けてきたのが今日に続く「北方領土問題」でした。

 そうした日本の主張を現在のロシア側は明確に見直す段階に入ったようです。
 その主張とはー

「ソ連はヤルタ会談でアメリカやイギリスと領土問題を含めて約束を交わして日本と戦争状態に入ったのだ。その結果、現在の南クリール諸島は第二次大戦の戦勝国としてロシアが獲得した領土だと言う事を日本は認めろ!そうでなければ、この話は今までと同じく進まないぞ!」

 ーと言うのが、ラブロフ外相の主張している内容なのでしょう。

 日本もこの<北方領土問題>を解決して平和条約を結ぶためにはロシア側の言い分を受け入れなければならないのですが、昨日の日ロ外相会談後に河野さんが出席を拒んだのは、今まで日本政府が国民に対して説明し主張してきた内容を180度ひっくり返す様な会見をロシアの外相と並んで会見しては<日本のメンツが立たない>と考えての事だと推察します。

 問題は、現実はどうなっているかと言えうことです。

 ロシアが北方領土を主権下に置いているという事実です。
 そして日本がどんな言葉を使って主張しても、アメリカと安保条約を結んでいても、今までと同じ内容の主張をしていていは<北方領土>の返還は実現しないということです。
 もし日本政府が北方領土はロシアが第二次大戦後に自国の領土にしたもので主権下にあると認めれば、ロシア政府も4島返還交渉を進め、先ずは歯舞・色丹を返還し、残りの2島も交渉に応じるというのであれば、日本政府としても現状を素直に認めればいいだろうと考えます。
 
 要するにロシアのメンツを立てればいいのです。

 もし、そうせずに交渉がご破算になれば、いつまで経ってもこの問題は解決せず、結果的に次に戦争をして奪還するまでは日本の領土にならないことが決することになるでしょう。

 いずれにせよ、安倍さんの決断とプーチン大統領の腹一つにかかっています。
 22日は注目です。

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