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 昨日、投開票された自民党の総裁選は予想通り安倍さんが圧倒的票数で三選を果たしました。

 但し、勝つには勝ったものの、選挙前から大方の派閥領袖が安倍総理支持を明らかにし、途中まで総裁選に立つ意向を示しながら、最終的には立候補を断念した岸田氏や野田氏らが揃って安倍支持を明らかにしたにもかかわらず、党員の支持は必ずしも自民党所属の議員と一致せず、ほぼ互角の票数で石破氏はの影響力はかなり生き残る事になったようです。

 そんな中、本ブログで以前ニュージーランドに外遊した小泉進次郎さんや小渕優子さん、そして福田達夫さんら総理経験者を父に持つ3人の若手議員の動向や如何?という記事を書きましたが、今日は3人の中で最も影響力を持つ小泉進次郎氏の投票行動に視点を当てたいと思います。



(Abema TIMES 2018年9月20日)
『20日に投開票が行われ、安倍総理の3選が決まった自民党総裁選について、小泉進次郎筆頭副幹事長が取材に応じた。

 石破氏に1票を投じたことを明かした小泉氏は、「日本のこれからの発展は人と違うということを強みに変えられるか、そういったことが大事。自民党も違う意見を押さえつけるのではなくて、違う声を強みに変えていかなければならないという思いから判断した」とコメント。

 以前、投票先を明示しないことを示唆していた点については、「いろんな情報戦があった。総裁選というのは政治の世界での戦、私は武器を持たない戦争だと思っている。その過程の中で日々変わるもの」とし、「自分が生き抜いていけるのか、非常に学びのある総裁選だった」と振り返った。

 そして、“3選”の安倍総理に望むこととして、「『新しい国づくりをしたい』というあいさつにあったように、人と同じではなくて違うことが強みになるんだという社会をつくっていただきたいし、『ノーサイド』という言葉にあったとおり“真のノーサイド”という形で1歩前に進めていきたい。日本でノーサイドとか一致団結というと、何も言わない、意見を言わないことだと勘違いされるが、意見をぶつけ合って最後決まったことは『それでいこう』というのが本来の自民党のノーサイドだと思う。そうなっていくことを期待しているし、安倍総理には最後の総裁任期を、腹の底からやりたいことを完全燃焼していただきたい。党内で違う声があってもそれを強みに変えていただきたい」と述べた。

 また、石破氏支持を表明したタイミングについては、「仮に早く表明していたとしたら、私が望む形にはならなかったと思う。表明しなかったからこそ2人の論争に注目が集まったのではないか。私はバッターボックスに立っていませんから、ベンチを映すのはおかしい。戦った2人の議論を多くの国民に観ていただきたいというのは変なことか」と自身の考えを示した』



 小泉進次郎氏の投票行動に関しては、昨日の朝には<石破氏支持>という情報が報道され前々回のように投票後に発表するという事はありませんでした。

 何とも中途半端は情報漏洩の仕方です。

 恐らくは戦いの後に旗幟を鮮明にするのは周囲の議員や国民から<卑怯!>の誹りを受ける事を懸念したからでしょう。
 さはさりながら、もっと以前に発表していれば自民党の石破派以外はほぼ全派閥が安倍支持を鮮明にしている訳ですから、<小泉進次郎を筆頭副幹事長から下ろせ!>と言った声も上がり、もっと強硬な「反・進次郎」の空気が醸成されたでしょうし、間違いなく内閣改造や党の役員人事で冷や飯を食う事になったでしょう。

 そうした事を考え、もはや大勢に影響が無い当日朝というタイミングで投票前に<石破支持>という立て前を通したと言う事では無いかと。

 恐らくは考えに考えた挙げ句の戦術だったと思います。
 彼を総理にする、と考えるブレーンのアドバイスもあったかもしれませんし、党員票が以外に伸びているとの事前調査を入手してからの緊急漏洩だったかも、などと愚考します。

 ただ、小泉進次郎氏のぶら下がり会見でー

「仮に早く表明していたとしたら、私が望む形にはならなかったと思う。表明しなかったからこそ2人の論争に注目が集まったのではないか。
私はバッターボックスに立っていませんから、ベンチを映すのはおかしい。戦った2人の議論を多くの国民に見て頂きたいというのは変な事か」

 ーと答えていますが、私は苦しい言い訳だと思います。

 そもそも今回の総裁選ほど国民の興味を呼ばなかった選挙はないでしょう。
 その原因は北海道地震があって総裁選の出鼻を挫かれ、そんな事やっている場合ではないだろうと多くの国民が感じたからです。
 また、ロシアで行われた首脳会談に安倍さんが出掛けてしまい、総裁選自体の存在感がこれ程薄かったのは曾て無かった程です。

 そんな中、新聞記者などマスコミの目から逃げるようにニュージーランドに出掛けてしまった小泉進次郎氏。
 彼がバッターボックスに立たないのはその通りですが、どちら側のベンチ上の観客席にいるかを明らかにするのは当たり前の話しでしょう。
 真に小泉氏が<新しい国造りをしたい>という安倍総理の言葉に共感し、その<国造り>を新しい顔で始めたいと考えるのであればもっともっと積極的に自分がベンチの中に入るように努力すべきだろうと思います。

 ところが彼は、既に引退した父と同じ様な立場を維持しています。

 批判的な言質を世上に振りまき、国民の関心を集める事には積極的でも、逆風の矢面に立つ様な場面では実に上手に頭を下げて逆風を避け、時には背中を向けるが如き態度にも出る。

 私は今回の行動には一抹の<姑息さ>を感じています。

 本当に若手議員の代表として日本を世界の中の日本にさせるためには、同時に多くの国民がこの日本に生まれ育って良かったと思うような国にするためには、例え逆風が強くてなぎ倒されるかは分からなくとも、怯む事無く、傲る事無く、躊躇うこともなく、一心不乱に<真の新しい国造り>を率先して唱え行動して欲しいのです。

 もし彼が、選挙戦当初から石破氏支持を明確にし、選挙戦を共に戦っていたとすれば党員票は今回の結果と逆転していたかも知れません。
 となれば、議員数が圧倒的に安倍さん支持であったとしても、国民有権者と乖離した国会議員の数など無意味だ!という声が戦後大きくなった事でしょう。

 そしてその結果は最後の任期を迎え、求心力が落ちるしか無い安倍総理総裁の行動にも大きな影響を与える事になった筈です。

 だからこそ、私はそうした影響力を持つ小泉進次郎氏が今回の様な行動に出る事が妙に計算高くて、大人の振る舞いに見えて仕方ないのです。

 もっともっと前のめりになる姿こそ若手議員の特権では無いかと考えます。