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 上の写真は我が日本の総理大臣安倍晋三氏とアメリカ大統領トランプ氏の2ショット。

 安倍さんはトランプが大統領に当選以来早々と他国に先駆けて祝いに駆け付けました。以来、強固な信頼と同盟関係を確認したと語って来たのです。
 トランプ大統領も事ある毎に安倍さんを友人と語り、“一番のポチ”であることを世界に発信しています。

 但し、本ブログでは何度も書いてきましたが、所詮、アメリカは日本を属国の様にしか思っていない筈だと。

 その事は日本で使用する基地問題を占領以来一向に変えるつもりが無く、サンフランシスコ講和条約を締結して日本が独立以降も、曾てジョン・ダレス国務長官が日本政府に要求した<我々が望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を確保する事。それがアメリカの意向だ>という要求を、締結した安保条約の条文には書き込まずに行政協定で実質的に担保している事でも分かるのです。

 そして今、アメリカ国内で<小学生程度の脳みそしか無い>と語った側近達の陰口に苛ついているトランプ大統領は、近づく中間選挙の切り札として《日本叩き》というカードを切る可能性が高くなっています。

 6日、「ウオールストリート・ジャーナル」がトランプ大統領の言葉としてー

 「どのぐらい(対価を)払わないといけないか日本に伝えた途端、当然(関係は)終わるだろう」

 ーと述べたと報じたのです。

 つまり、目下アメリカは貿易不均衡を理由に中国と経済戦争の真っ最中ですが、次なるターゲットは同じ様に赤字超過の貿易相手国である日本を据えたと言う事です。



(毎日新聞 2018年9月7日20時29分)
『米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは6日、トランプ米大統領が安倍晋三首相との親密な関係について、通商問題で「どのぐらい(対価を)払わないといけないか日本に伝えた途端、当然(関係は)終わるだろう」と述べたと報じた。日米両政府は今月下旬に首脳会談を開く見通しだが、巨額の対日貿易赤字の削減に向け、米国が日本に厳しい要求を突きつける可能性を示唆した形だ。

 トランプ氏は同紙の電話取材に対し、安倍氏との強い友好関係に触れたうえで、関係を犠牲にしてでも通商問題では強硬姿勢に出る考えを示した。記事は「北米や欧州との交渉をまとめたとしても、通商をめぐる不透明感が消えるとは限らない。トランプ氏は日本との通商問題を問題視しているようだ」として、トランプ氏が日本を「次の標的」にする可能性を指摘した。

 トランプ氏は外交経験がなく、北朝鮮への対処やアジア戦略をめぐり安倍氏の助言を頼りにしてきた。しかし就任1年半を過ぎ、それなりに外交経験を積んだことで、安倍氏への依存度が低くなってきたことも発言の背景にありそうだ。

 トランプ氏の発言について日本政府関係者は「貿易赤字批判は今に始まったことではない。過去の言動から考え、深く計算した上で発言しているとは考えにくい」と静観の構えだ。ただ、11月の米議会中間選挙を控え、トランプ氏が貿易赤字削減を強くアピールするとの見方は強まっており、今後の貿易協議への影響が注目される』



 日本がアメリカとの貿易で長く黒字を続けていることは周知の事実です。

 唯我独尊で国益を何よりも重視するアメリカがそうした状態を看過してきた理由は、恐らく日本がアジアの最前線基地として軍事的にも経済的にもアメリカが利用する価値があると思ってきたからでしょう。
 1945年に占領軍として日本に居座って以降、アメリカ軍は23年間も日本国内に基地を構え、しかも基地で使う人件費や様々な費用を日本に肩代わりさせ、事件を起こしても日本警察が米軍より先に身柄を押さえ裁く権利は無く、日本列島の空の制空権まで実質的に握っているのがアメリカでした。

 それらを金に置き換えればどれほど莫大な費用になるか。

 歴代の大統領はそうしたことのバランス良く考えてきたからこそ、本来であれば我慢できない日本の黒字、アメリカの赤字状態を受け入れてきたと思うのです。

 ところが、現在の大統領は側近が<小学生程度の頭しか無い>と陰口を叩くほど政治的バランス感覚の薄いトランプです。
 彼は実に近視眼的に、思いつき感覚で、目の前に起きた出来事に囚われツイッターで呟き、集会で吠えまくるのです。

 中国との貿易戦争に踏みきる!という作戦は自分を支持する岩盤サポーターばかりでなく、多くのアメリカ人が喝采した政策でもありました。
 しかし、中間選挙の為に有効かと言えば、既に賞味期限が近づきつつあるようです。
 北朝鮮との首脳会談も、まるで“小脳会談”の如しで何等具体的な道筋は見えず、日本をコケにし、歴代の米韓首脳をコケにした愚行は金と時間の無駄使い以外の何ものでもありません。

 日本の安倍総理は、それでもトランプが日本人拉致被害者の問題解決に何らかの突破口を開いてくれると思ったかも知れませんが、実際は全くのゼロです。
 北朝鮮側は拉致問題は解決済みというこれまでの回答を変えるつもりは毛頭ないようです。

 トランプ大統領が打つ手は既に余り無いのです。禁じ手以外は。

 そして、「ウオールストリート・ジャーナル」に語った<どのぐらい(対価を)払わないといけないか日本に伝えた途端、当然(関係は)終わるだろう>という言葉は、日本との貿易戦争を始める最初のジャブの一発でしょう。

 つまり、トランプは戦後一貫してアメリカ政府とアメリカ軍が築いてきた日米軍事同盟と日本の植民地化的政策の一端を崩そうとしているのです。

 如何に現在の日本首相がアメリカのポチであったとしても、もし貿易摩擦を解消する為に<米軍の駐留経費を全て賄え>とか、<更に何十億ドル、何百億ドルもの武器を買え>とか、<アメリカ製品の関税をゼロにしろ>とかいう注文をつけられたとした場合、飲める話しと飲めない話しがあるでしょう。
 しかも<話しが飲めないのなら、自動車関税を一気に20%アップする>と恫喝をされた時、安倍総理は一体どんな態度で、どんな言葉を返すつもりなのでしょうか。

 これまでの例に基づけば、<きっと日本は飲み込むに違いない。パールハーバーで奇襲する様な卑怯な国のトップにアメリカと、そしてこのトランプと戦う度胸なんて無い筈だ>とトランプ大統領は思い込んでいる筈ですし、日本の首相も<アメリカに逆らって日本が生き残る道は無いだろう>と思っているかも知れません。

 しかし、本当にそうでしょうか?

 第一に、北朝鮮の金正恩もそうですが、金正恩は<非核化の道はトランプ政権の一期目が終わるまでにその緒に就けば良い>と、先日訪朝した韓国の特別訪朝団に語ったと言います。
 この言葉は裏返せば、<どうせトランプは1期しか保たないんだから、次の政権と話し合えばいいだろう>と言っているに等しいでしょう。

 要するに、アメリカの大統領は長くても2期8年しかその権力の座にいられず、トランプの場合は一期で終わる可能性は極めて高いのです。

 そんな大統領の言いなりになって日本の首相が町の与太者の様な男の脅しに屈している様ではおよそ日本の未来はないでしょう。
 それはそうです。
 中国やソ連、そして世界が日本と言う国家は強く出た相手には真っ向勝負する勇気も度胸も無いのだから、今後はもっとトランプの様に威圧外交に出よう、となるのは必定です。

 私は安倍さんがそこまで愚かだとも、臆病だとも思ってはいません。
 
 もし、トランプが本当に日本叩きに出た場合は向こうが思ってもいない対抗策を用意しているのでは無いかと思うのです。

 「日本の経済は今、東日本大震災の復興の道筋が漸く見えたばかりですが、今また北海道で壊滅的な大地震も起きました。今後、更に厳しい経済対策を行わなければなりません。
 トランプ大統領の要求する更なる兵器購入や日本国内の関税下げについても難しい。
 もし、基地の経費を全て負担しろと要求される様であれば、我が日本としては日本国内の米軍基地使用は見直さざるを得ません。
 国家が自らの国民と国土を守るのは全ての国同様、我が日本も同じですから、今後は日本独自の軍事力で国家国民の安全を守る気概を持つことにします」

 日本国内の米軍基地使用を終了する伝家の宝刀を抜くのです。

 そしてその為には天敵であった中国やソ連、そして韓国や北朝鮮との関係も見直さなければならないでしょうし、軍備の見直しも必要になるでしょう。

 少なくとも、その覚悟がある事を態度で示すのです。

 果たして日本の首相がそうした態度に出た場合、アメリカはいきなり日本を敵視して本格的な貿易戦争に突入出来るでしょうか。日米の経済、軍事備品などがお互いに抜き差しならない状況になっている今、アメリカの軍部や経済界がトランプに同調するとは思えません。

 アメリカだけが日本の唯一の安保の柱、という見方は既に実質的な存在意義は無くなっている様に思います。
 アメリカはトランプという変人が大統領に当選した段階で国家が変質したのです。
 民主主義と理想のモデルケース国ではなくなったのです。
 
 要するにアメリカは最大最強の軍事国家であると同時に、思想的にも哲学的にも表面的にも既に世界一の国家で無い弱点を露呈したと見るべきなのでしょう。

 日本の中心官僚としてあの大戦を遂行し、戦後は総理大臣となってアメリカとの関係を構築してきた祖父岸信介氏も大叔父佐藤栄作氏もアメリカの圧力と戦いながら現在の日本の繁栄を築いてきました。
 
 彼等の孫である安倍晋三氏が自民党総裁に三選されることは既に既定路線でしょうから、月末に訪米して日米首脳会談に臨むのは間違いなく安倍晋三総理ということになるでしょう。

 安倍さんがどんな対米姿勢をとるか?
 そしてどんな言葉を返すのか?

 注視しています。