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 昨日、夕方の5時頃から女子体操選手・宮川紗江選手を小学5年生の時から専属で教えてきた速見佑斗コーチの記者会見が行われました。

 先ず最初に宮川選手、体操関係者、世間に対して謝罪をしたのですが、その言葉にウソはないのではないかと思えるほど、必死で、真摯に言葉を絞り出していました。

 そして質疑応答に移りましたが、記者達の質問は<暴力>を「絶対悪」だとし、且つ、自らはそうした暴力とは無関係な位置にある「絶対善」の上から目線で終始した訳ですが、速見コーチは既に“完落ち”している状態ですから、質問をする記者がどの様な立場から非難追及をしているのかという疑問も怒りも感じていないようでもありました。

 しかし、<暴力問題>は既に本人が完全に認め、今後の指導で二度とどんな暴力も使わないと誓いの言葉を述べている以上、追及はそこまでで、次なる質問は《引き抜き》と《塚原夫妻のパワハラ》と《契約問題》へと移っていったのです。

 塚原夫妻の<引き抜き>に関してはー

 これはもう、3度も具体的に「朝日生命体操クラブ」への引き抜き=移籍を今まで繰り返し行われていたと証言しました。
 確かに塚原千恵子強化本部長が直接、「ウチへ来ないか?」と声をかけている訳では無い様ですが、塚原副会長の依頼で引き抜きの声をかけてきた「朝日生命体操クラブ」のコーチのケースや、強化本部長の付き人から「朝日生命体操クラブ」に来たら有利だよ、といった言葉をかけられていたことが,宮川選手よりも更に詳細に語られたのです。

 この言葉にはウソがないだろうと私は感じましたし、多くの視聴者が感じたのではないかと思います。

 次に<塚原夫妻のパワハラ>ですがー

 この問題についても、「2020特別強化選手特別教会対策」に登録していなかった宮川選手と速見コーチは塚原千恵子強化本部長に呼ばれ、「どうして(NTC)を使っているの?2020に入っていないあなた達は使っちゃダメよ」と直接言われたと証言したのです。

 このお達しに納得が出来なかった速見コーチは体操協会の事務局長と専務理事に「なぜ、ナショナル選手なのに強制でない2020に属していないことで制限をかけられるのか。理由が分かりません。それなら2020に属していない選手は、制限を受けると言う事を発表して下さい。発表があるなら従います」と問いただしたそうです。

 彼の質問に対し、協会側の二人は「いくら強化本部長が決める事とは言え、体操協会として改善する必要がありますね。体操協会としては考えなきゃいけない」と答えたものの、その後何の連絡も動きもなかったとか。

 つまり塚原強化本部長の独断専行を協会側の幹部も知っていて何もしなかったと言う事です。これでは、宮川選手が記者会見で<協会の体質改善>を明確に提言したことも納得が行きます。

 次いで、<契約問題>ですがー

 この問題に関しては、初めて速見コーチは付き添っていた山口弁護士の顔を見て彼に答えを譲る形になりました。
 そして山口代理人は、<スポンサー契約の問題に関して相手方代理人と話が付いており,後は文書などの細かな詰めの作業が残っているだけ。そしてこのスポンサー契約に関しては相手方との話し合いで、契約の内容と交渉経過は明らかにしないと合意している>と答えたのです。

 話しはちょっと飛びますが。

 実は、夕方の会見までに各局のワイドショーやニュース番組をウオッチしていたのですが、先週末頃からフジテレビの坂上忍司会の「バイキング」では、司会の坂上君が塚原側の出したと思われる<契約問題のコジレ>を取り上げ、今までどちらかと言えば宮川選手側に立った物言いをしていたのですが、急に方向転換したように速見コーチが専属問題で何かやってんじゃないの?と思えるニュアンスの言葉が増えたのです。

 そして昨日は明らかに<契約問題のトラブル>は宮川選手と速見コーチに非があるんじゃ無いの!?と言える様なトーク展開をフリップの意図的な書き込みを使いながらする様になっていました。

 と言うのは、<契約問題>が専属契約なのか、単なるスポンサー契約なのかによってこの問題の質が全く違う筈なのに、その前提を忘れたように非難しているA社の言い分(塚原夫妻の非難と同義)を正しい事として放送していたのです。

 専属契約であれば、最初に契約していた大学と後にA社と契約をダブってするのは明らかに問題となります。
 しかし、単なるスポンサー契約であるのであれば番組に出演している坂上君らと同様に何社でも重なって契約することは出来る訳です。

 にもかかわらず、昨日の「バイキング」を見ると坂上君は明らかにこの問題の前提を確認することをせず、速見コーチが“金目当てで契約をダブっていたんじゃないの”と思わせる語り口だったのです。

 実に不思議でした。

 昨日の速見コーチの記者会見には本ブログでも先日取り上げたテレビ朝日のスポーツキャスター宮嶋泰子アナウンサーも記者席に見えました。
 しかし、彼女が質問をしていた姿は見ることがありませんでした。少なくとも生放送中に。
 既に彼女が新体操連盟の理事であり、塚原強化本部長の言い分を代弁する様な人であることは知る人ぞ知る所ですし、ドーハでの世界選手権をテレビ朝日が放送する事も体操協会側に立った理由だろうと思われますから、彼女自身、忸怩たる思いがあったのかもしれません。

 そして業界人の悪いところですが、フジテレビの「バイキング」で何故か宮川選手側に対してキツイ言葉が多くなったのも、その背景には体操協会との関係を新たに構築したいという狙いがあるのではないかと深読みしてしまったのです。

 これは私の全く偏見ですから、そんなことはないよ!と起こられるかも知れませんが。

 そして今日、「週刊文春」が今までの騒動にトドメを刺すような記事を発売します。
 既にネットでは文春オンラインの予告で、塚原強化本部長のパワハラや引き抜きなど多くの関係者に徹底取材して特集記事5ページを報じると伝えられました。

 しかもその記事に関して文春側から塚原夫妻に質問を投げかけたところ、答えは無しのまま何と、出版差し止めの訴えを地裁に提起したというのです。
 恐らくは相当に都合の悪い内容が書かれているのでしょう。今まで、都合の悪い記事を書かれた政治家や大物芸能人などたくさんいたが、発売前に出版差し止めを訴えたというのは極めて稀だそうです。

 ところが地裁は差し止めを満たす相当の理由がないとして訴えを却下したとか。

 要するに、今日発売される《文春砲》は今までとはレベルの違う取材が行われ、これまでの報道で味方になってきた各メディアの内容を一気に吹き飛ばすほどの塚原夫妻側にとって不都合な事実が書かれているのでしょう。

 早速,私も買って読んでみようと思います。
 
 そして今日未明、北海道で大地震が発生して早朝から各局地震速報に追われています。
 その為、体操協会のパワハラ問題の扱い量は地震が無かった場合を考えれば圧倒的に少ない分量となる筈です。
 さはさりながら、全く報じられないことは無いでしょうし、明日、明後日と地震報道が減少するに連れ、またぞろワイドショーは報じることになるでしょう。

 心配なのは世界選手権を1ヶ月後に控えている各選手達の心です。
 もしこのまま強化本部長が現職に就いたまま同行するようであれば、彼女に降り懸かった疑惑に対する不安な心の揺れが選手達にも微妙に影響することは必至でしょう。

 本当にそれで良いのか。

 日本体操協会の他の幹部達は日本体操界を真摯に見つめ、選手を考え、対処するべきです。