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 「全部ウソ!」と囲みの記者達に語った日本体操協会副会長の塚原光男氏と、スポーツ紙の取材で「黙っていない」と語っていた女子強化本部長の塚原千恵子氏。

 この二人が日曜日、突然、宮川選手に対する謝罪コメントを発表しました。
 また、昨日の月曜日は各局順番に単独インタビューと称するテレビ局周りをして、<宮川選手に直接会って謝罪したい>と語っていた塚原光男副会長。

 180度真逆の豹変振りに宮川選手も代理人弁護士もどうしたものかと困惑している様です。

 実にフットワークが軽いというか、リスクダメージコントロールに徹したというか、流石に老練だなあと言う印象です。

 民放番組のインタビューを受けていた塚原副会長は日曜日に配ったFAX内容をなぞり、徹底して3つのことを強調しました。

 第一に、先ずは何を置いても申し訳ないと言う<謝罪の姿勢>を強調する事です。
 自分達が記者達に対して<全部ウソ>とか<黙っていない>と語った内容は感情的な発言であって、そもそも選手達を守るべき役割を担う副会長と強化本部長の立場を忘れ、謝罪するしか無いと徹底して謝る姿勢を見せたのです。

 第二は、第一の<謝罪>は倫理的に見て、大人がとるべき態度の観点から申し訳ないのであり宮川選手が指摘した<パワハラ>を認めた上での謝罪では無いと言う事です。
 <パワハラ>があったと自分達は考えていないので、その判定は今後設置される「第三者委員会」の判定に委ねると言うことでした。

 第三は、10月にドーハで行われる世界体操競技選手権が1ヶ月後に迫り、選手達が混乱している今の状況を一刻も早く鎮め、選手達が強化できるようにしたいと。

 要するに、二人が弁護士と相談して出した結論は《時間稼ぎ》という老練な手段の様です。

 今、宮川選手の専属である速見コーチは体操協会の処分を受け入れると既に表明しています。
 それは、具志堅副会長が一刻も早く事態を収拾して宮川選手がやりやすい体制を整えてやりたいと語った記者会見での言葉を受けての事でした。
 つまり、塚原夫妻以外の幹部達は今回の騒動を兎に角穏便に終熄させようとしているらしい
 速見コーチとしては塚原夫妻の言い分に我慢は出来ないが、宮川選手の事を考えれば自分の憤りを棚上げして元の状態に戻してやることがコーチの使命だと考えたのでしょう。

 それが地位保全に対する訴えの取り下げでした。

 そして、その動きを見た塚原夫妻と弁護士は速見コーチが体操協会の下した処分を受け入れた以上、此処は自分達が謝罪の姿勢を示すことで世間の逆風を避け、10月に始まる体操女子の世界選手権の強化本部長という立場を維持することが先決で、世間の逆風も時間が経てば今の様な強さが続かないだろう、と考えたのではないか。
 大の大人が夫婦で徹底して謝罪姿勢を示しているのに、それでも尚、宮川選手が彼等に対するパワハラを責める言葉を吐き続ければ、やがて逆風は止み、自分達の背中から追い風になる可能性もあるだろう、と。

 恐らく弁護士がそのようにアドバイスしたと思います。

 さはさりながら、私は今までよりも強い疑惑の目で今回の騒動を見ていますし、塚原夫妻を擁護する人間への不信を強めています。

 前回の本ブログで私はテレビ朝日「報道ステーション」で塚原夫妻を擁護し、宮川選手を思い込みの強い独りよがりの選手の様に語っていた宮嶋泰子スポーツキャスターに対して疑問の一文を書きました。
 
 そして昨日、Youtubeを見ていたら私が懐いた疑問を多くの視聴者が同じ様に感じていたことを知り、しかも新事実を知ったのです。

 それは、宮嶋アナが日本体操協会の下部組織である公益社団法人日本新体操連盟の理事という職にあったのです。
 なんと、ニュース番組で取材歴40年のスポーツキャスターという肩書きを謳い、騒動の解説を行って塚原夫妻を擁護する弁を論じた当人が日本体操協会側のバリバリの一員だったのです。

 テレビ朝日の肩書きを示した宮嶋泰子の名前が理事職として掲載されているところを見れば、恐らく局として認めた理事職でもあるのでしょう。

 しかしながら、今回の騒動の根本に公益財団法人日本体操協会の副会長を務める塚原光男氏と女子強化本部長を務める千恵子氏の二人が、民間の朝日生命体操クラブの総代と女子監督を務める経営者だったという事実があり、この事実は利益相反ではないかと見るムキもあるのです。
 そして公平に社会正義を果たすべきニュース番組のキャスターが、何と、日本体操協会の下部組織である公益社団法人日本新体操連盟の理事であることも全く同じ構図じゃないかと、思う次第です。

 そしてオチではないですが、10月にドーハで始まる世界体操競技選手権大会の放送はテレビ朝日で行われるのです。

 私もテレビ業界で生きている人間ですから双方にしがらみが生まれるのは理解出来ます。
 しかし、こうした世間を賑わす社会問題化している日本体操協会のパワハラと塚原夫妻の関係を忖度する余り、彼等の擁護をしていると視聴者に見られることは己のクビを締めることに繋がりますし、天下の公器としてのテレビニュース番組の使命を裏切る事になるでしょう。

 現状は少なくない人がSNSなどで今回の問題を伝える宮嶋キャスターの姿勢に疑問を感じ記事をUPしているそうです。私もこうして記事にしています。

 ニュース番組が視野狭窄になるのは致命的なミスだと、私は思います。