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 日本相撲協会の臨時評議員会は昨日、理事会で決定していた貴乃花親方の理事解任を全会一致で承認したと、議長の池坊保子さんから記者発表されました。

 

(スポニチ 1/4 12:41配信)
『日本相撲協会の臨時評議員会(池坊保子議長)が4日、両国国技館であり、貴乃花理事の解任案が承認された。会議は評議員7人中、5人が出席。池坊議長によると「全会一致」。ただし、同議長は規定に則り、採決には参加しなかったと明かした。審議は午前11時から始まり約1時間行われた。

 12月28日に開かれた臨時理事会で、貴乃花理事の解任を評議員会に提案することが決議されたことを受けて、開かれた。これにより貴乃花親方は理事から役員待遇委員へ2階級降格となる。

 先月の臨時理事会で協会の八角理事長や、危機管理委員会の高野利雄委員長(元名古屋高検検事長)は、解任案の提出理由として「報告義務を怠った」、「聴取要請の拒否」の2点を挙げていた。これが理事としての「忠実義務の違反」にあたるとし、この日の審議でも追認された。また、池坊議長は、貴乃花親方が八角理事長から電話にでなかった点なども挙げ、「著しく礼を失する」と非難した。

 発端は貴乃花部屋の平幕・貴ノ岩が昨年10月26日未明に元日馬富士に暴行された事件。危機管理委員会の報告によれば、被害者の師匠、貴乃花親方は同29日に鳥取県警に被害届を提出。11月1日に鳥取県警から日本相撲協会に捜査協力要請があった。協会は、県警の連絡で事件の発生を把握した。

 同14日、報道により事件が表面化。同日、危機管理委員会において調査することが決定。同17日から25日までの間に貴ノ岩と貴乃花親方に計5回、聴取を要請したが、同親方は捜査への支障を理由に拒否した。

 加害者側の元日馬富士の師匠、伊勢ケ浜親方はすでに理事を辞任し、貴乃花親方と同じく2階級降格の役員待遇委員となっている』

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 私は昨日の会見を見ていて、少なからぬ違和感を感じていました。

 違和感の大きな理由は、元子爵の家に生まれ、日本の家元を代表する華道の池坊専永氏の妻となり、後に小沢一郎さんの新進党から比例ブロックで衆議院に立候補して当選し、更には創価学会の会員でも無いのに公明党から立候補して当選。そして、2008年に政界を引退し、波瀾万丈の人生を歩んで来た池坊保子さんにあります。

 彼女が政界を引退した時は、<精神的にも、体力的にも厳しい年齢。若い世代にバトンタッチし、ノウハウや人脈を受け渡したい>と語っていますが、何故か2014年の日本相撲協会が公益法人になった際に評議員会の議長になっています。
 恐らく元文部科学副大臣をしていた関係から相撲協会と繋がりがあったのでしょうし、彼女の発言を聞いていると、八角理事長ベッタリの様子が見えるので、理事長が強く押していたのかも知れません。

 それにしても、政治家を引退した時の言葉が真実であれば、相撲協会の評議員会の議長という仕事は精神的にも肉体的にも楽なのでしょう。

 更に評議員会の議員について触れれば、全部で7人いる評議員ですが昨年の暮れや今回の評議会に参加したメンバーは5人です。
 しかも議長には議決権がないそうなので、7人中4人の投票で日本相撲協会の歴史上初めての《理事解任》という重大案件を決定したことになります。
 因みに外部評議員で参加したのは元文部科学副大臣だった池坊保子さんと、日本公認会計士協会監事の小西彦衛さんの二人だけ。この内、議長は投票に参加できないのですから評議会の存在自体がヌエの様なものでしょう。

 要するに、日本相撲協会と危機管理委員会と評議会という組織構成のあり方が実にモヤモヤしており、外部識者と言っている割には機能を果たしている様に見えない所に<違和感>の原点があるのではないかと。

 そして昨日の池坊議長の記者会見ですが。

 今回の解任理由は明確に2点を述べていましたね。
 第一は「役員なのに報告義務を怠った」 第二は「聴取拒否の礼を失する態度」

 今、ネットでは今回の解任決定に関して反発している者の方が多いようです。
 その理由の大きなものが、正に上記の解任理由にある事は明らかですし、解任決定を発表する池坊保子議長に対する<違和感>ではないかと思います。

 そもそも「報告義務」を怠ったことが処分の理由であるのなら、暴行現場に居て暴行の原因を作った白鵬や鶴竜などの力士は同じ協会員なのに日本相撲協会への「報告義務」を怠っているのだから、同じ様に処分をしなければならないのに不問にしているのは何故か!?

 次に「礼を失する」と言うことも処分理由の2番目にあげているが、会見で池坊議長が語った内容に寄れば、八角理事長が何度も携帯に電話しているのに出ないということのようだが、これは八角理事長の話を真実として受け止め、貴乃花親方の言い分を無視した片手オチの採決のようなものではないか。
 つまり、池坊保子さんという言葉は丁寧で上品に見えるけれど、所作や言動は極めて傲慢な上流階級の女性が自分の贔屓にしている八角理事長の肩を持ち、<改革>を唱える若い貴乃花親方を潰してしまおうという、昔のどさ回りの芝居に出てくる悪代官の様な印象を与えている様に見えるということです。

 私も貴乃花親方の<礼を失する態度>に関しては、本ブログでも指摘させて貰いました。

 それは、部屋に訪ねてきた協会の役員達を4度も玄関払い同然の扱いをしたことで、そのことは、事件の善し悪しを離れて<礼を失した態度では無いか>と思ったからです。

 しかし、元政治家が日本の団体の中でも有数の利権団体である「日本相撲協会」の理事を選任したり解任したり出来る役割を持つ評議員会の議長になっているのに、さも、全く善意の第三者の様な<礼儀>を問うても世間では中々通用するものではありません。
 世の中のスポーツ団体の会長などを見れば、政治家の名前がゴロゴロしていることからもよく分かります。
 所詮は組織の金と票、更には日本と言うコミュニティの中でどれだけ影響力を持っているかと言う自己顕示欲と相互依存の構図が見え隠れしているのです。

 私が彼女の記者会見で大きな<違和感>を感じた源がその辺りにあります。

 現時点で私が思うのは、貴乃花親方ももっと大人になって是々非々で語るべき所を語る必要があるのではないかということです。

 どう言うことかというと。

 彼も二つの点で、大きな失態をしています。

 第一は、弟子の貴ノ岩が怪我をした理由を知った後、警察に被害届を出しておきながら、警察から協会に問い合わせの電話が来た際に<知らない>と答えたこと。
 第二は、協会の聴取を拒むのは良いにしても協会の役員が部屋を訪ねて来た際に玄関払いを4度も5度もしていることです。

 諸葛亮孔明ですら劉備元徳が三顧の礼を尽くした際に応えていますからね。

 日本の伝統、相撲という武道の様式美、そして人の礼儀を重んじた言動をしてきた貴乃花親方であれば、こうした態度は<礼を失している>と誹られても甘受しなければなりません。
 池坊保子さんが八角理事長の電話に出なかったから<礼を失している>と言っていますが、そんなこととは次元の違う問題です。

 私は貴乃花親方が今後とるべき行動の最初に、先ずはこの二点を謝罪してその理由を説明すべきだと思います。
 しかる後に、命がけで相撲協会を改革する決意でいるのであれば、今後は理事会で配った自分の弁明を明らかにして正面からぶつかるべきでしょう。

 沈黙していた理由が明確になれば、国民の圧倒的多数が貴乃花親方を支持する筈です。

 そうではなく、2月の理事選挙まで更に沈黙したままで元の穴のムジナになるようであれば、所詮、貴乃花も“ピーターパンシンドロームの亜種”かと言う風に思われ、今回の騒動も今までの相撲協会の事件と同じ様な出来事の一つだとして風化していく事になるでしょう。

 今こそ、何を語るかが貴乃花に問われています。