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 昨日の大相撲千秋楽。前日、既に優勝を決めていた横綱・白鵬は大関豪栄道を破って40回目の優勝に花を添えました。
 しかし、取り組み後の優勝インタビューでは先日の負け試合の後で不可解な物言いを主張したと同じように、大きな勘違いの言葉を語っていました。

 彼は先ず、詫びの言葉から発したのですが、<今場所は水を差すようなことをしてしまいお詫びする・・>という内容には未だに自分自身が勘違いに気付いていない様でした。
 ところが観客の多くはその勘違いの言葉に喜び、何と万歳三唱を共に口にしたのです。

 先ずは、<今場所に水を差した>のは横綱日馬富士の貴ノ岩暴行事件をさすのか?それとも、自らが完璧な負けを喫してしまったのに、その負けを認めずにいつまでも物言いの主張を全身で示した事をさすのか?

 私は横綱・白鵬の物言いのあのシーンこそがモンゴル力士達が大相撲にとって“異能の者"であることを端的に示していたと思っています。

 誰が見ても立ち会いが成立しているのに(白鵬は張り差し)、相手の嘉風が見事にモノ差しにした瞬間、白鵬は力を抜いて、<待った>があったと態度で示していたのです。 
 先日の本ブログでは、横綱はどんな時にでも勝負に応え、負けてはならないと書きましたが、白鵬の態度は“横綱的"な資質を真っ向から覆すものだったのです。

 昨日の優勝後のコメントはその物言いと同様に白鵬の勘違いを示していた様に感じます。
 彼は、<自分が語る事で全て解決出来る>と。

 「ウミを出し切り、日馬富士も貴ノ岩を再び土俵に上げてあげたいと思う」

 確かに白鵬の言葉には迷いが無く、心からの言葉を語っていたように思います。
 しかし、私が彼を異能の者と呼ぶのは場所中に彼がとった行動が大相撲に対して大きな打撃を与えたと言う事に、何の疚しさも、責任も感じていないようにしか見えず、横綱があの場で全力士を代表して語る資格があるのかと問いたいのです。

 万歳三唱に至っては何をか況んやです。
 八角理事長も唖然としていたということです。

 事は既に刑事事件になっているのです。

 更には民事事件としても大ごとになる可能性もあるのです。

 もし、旭鷲山が電話で聞いたと言う内容が真実であった場合、また八角理事長に貴乃花親方が語った事が真実だった場合、貴ノ岩は相撲力士として未来を閉ざされる可能性があるのです。

 <体調が芳しくない>

 既に来場所の休場も発表しています。
 彼が幕内から十両に陥落するのは明らかですし、事によれば再び幕内に戻れないかも知れないのです。その原因が頭に受けた打撃だとした場合、どれ程の賠償金が必要になるか・・?

 マスコミや様々な人間が貴乃花親方の沈黙に焦点を当て、彼の態度を問題にする矮小化議論を俎上にあげているようですが、第一に刑事事件の容疑者としてどの様な処分を受ける事になるのか?第二に民事裁判で訴えられた場合、どれほどの保障が必要になるか?この二つの問題こそが今回の事件の本質なのです。

 そして横綱・白鵬はその結末を考えずに自己満足と、モンゴルでの賞賛を想定した上での大きな勘違いのパフォーマンスをした様に思えてなりません。

 最も大事なのは貴ノ岩の健康状態であり、彼の未来でしょう。

 彼が相撲力士として再来場所後も活躍できるのか?
 今回の怪我が原因でもはやマトモに相撲が取れなくなるのか?
 白鵬の言葉はその事を全く考えていないようでした。
 唖然とする者と、拍手を贈る者。

 どの時代でも、どんな状況でも物事の真実や本質を見極めることが如何に難しいかを昨日の千秋楽に見た想いです。