イメージ 1

 私自身、今まで、男子のフィギュアスケートを見ていて<美しい>とか、<芸術的だ>と感じた事は無かった様に思います。
 が、昨夜の「フィギュアスケート世界選手権」の生中継を見ていて羽生選手の演技にはホントに感心しました。

 ショートが終わって5位というポジションに、恐らく羽生選手自身は全く納得していなかったと思われます。自らを叱咤するかのように引き締まった表情、絶対に成功させるという覚悟を込めた厳しい表情にそう感じました。

 羽生選手の顔は滑る前からまるで終わった後の“鬼の形相"。相撲の貴乃花の表情や稀勢の里の表情を連想したのは私だけではないでしょう。

 それほど、もの凄い気迫を感じました。

 実際に演技が始まると、そうした男らしい表情とはまるで異次元の<美しさ>を表情で羽生選手は体現したのです。
 まるで清流のような滑らかな滑走と、蝶やそよ風に舞う花びらのような4回転ジャンプ、そして羽生選手が拘り続けるイナバウアーの中性的な美しさは、時間が経つに連れて会場を感動の渦に巻き込み、全ての演技が終わった時の歓声は今まで経験した事がないほど、歴史的瞬間を目撃したスケートファンの喜びが溢れていました。

 本当に素晴らしい演技でした。彼はまた一つ、壁を乗り越えた瞬間だったように感じます。

 羽生選手の後に出演した金博洋〔中国)は羽生選手と同様に4回転ジャンプを4度成功させたのですが、演技全体が単調で時間が経つに連れて面白みがなくなり、羽生選手の演技を引き立たせてくれた様な気がします。

 宇野選手も凄かった。
 高橋大輔選手を彷彿とさせる宇野選手は、小柄な体にも関わらず大きな演技とエネルギーに満ちたジャンプを繰り返し、僅かな失敗が無かったとしたら、羽生選手との差はもっと僅差だったかも知れません。

 最後のフェルナンデスは、もはや羽生選手と宇野選手のプレッシャーに潰されたようなものでしょう。

 それにしても男子フィギュアはとんでもない新世界に突入しています。
 あれほど4回転を難なく、しかも4回も6回も跳ぶなんて・・。

 今朝の記事を読むと、羽生選手自身が次なる目標は4回転半だと口にし、人間の限界である5回転ジャンプにも挑戦しそうな事も示唆したようです。

 女子フィギュアに比べて地味にも思えた男子フィギュアスケートは、昨夜の世界選手権の結果を通して確実に新時代を迎えましたね。