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午前10時。

予約しておいた日本語ガイドのコアさんとロビーで待ち合わせ。
コアさんは30歳のイケメンで、かつて日本の兵庫県尼崎市で3年間働いていた事があるそうで、その時に覚えた日本語を今の生活手段にしているそうです。

先ずは友人のS君に勧められたホーチミン市で一番高いビル、68階建てのスカイデッキに出かけ、360度パノラマを見る事にします。
ホテルからは近そうに見えるのですが、68階建てのビルのこと、きっと歩いたら相当の距離になると思いタクシーで向かいます。

到着して驚いたのは、49階にある展望台の入場料が一人20万ドンであること。
およそ1000円ですから、物価の安いベトナムにしてみれば相当高い料金設定に違いありません。
通訳のコア君曰く、このビルは政府の建てた物ではなくベトナムで二番目に金持ちの民間人の所有物だとか。不動産をかなり持っているとも言ってました。

上から見て感じたのは10数年前にハノイからホーチミンへとやって来た時に比べ、明らかに街の景色が変貌しているという事です。
当時の印象ではビルと言えば政府の建物かホテルぐらいだったようで、ビルというビルは無かったような。
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ところが今は結構な都会で、オシャレなビルも多いですし、通りにはシクロやバイクがたくさん走ってはいたけれど、今ほど多くの車が走ってはいなかったような気がします。

とにかく、“行く川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず"風に言うならば、『通りを走るバイクや車の流れは絶えずして、しかも一日一日新たなエネルギーが燃え立つ』とでも言いたいくらいにバイタリティーが旺盛な印象です。

スカイデッキもそこそこにしてベンタイン市場へ。
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コア君が言うには、この市場では日本語ガイドさんが日本語で通訳すると怒られるそうです。何故ならば、商品の80%ほどは偽物ばかりだそうで、あの有名なベトナムコーヒーも確かにコーヒーの香りはするけれど、実際にはトウモロコシの粉を混ぜて嵩増しをするなどしており、お客さんが<本物か、偽物か>と問い合わせた時に、ついコア君が本当の事を通訳して言うと、結果的に市場の商店主達の商売荒らしをすることになってしまうから、市場の中では通訳をするのが大変なんだとか。

それに、この市場の関係者は中国人が昔から利権を持っているそうで、商品も商店主達も中国人が多いという事です。

因みに、最近のホーチミンでは古くからいる中華系住民は別として、中国人が大っぴらに中国語を町中で話すとけんのんな雰囲気になるとか。
春先から揉めていた経済水域内での石油採掘などを巡る紛争が大きく影響し、経済活動もそうですし、とにかく今まで中国との関係が一番良かったあらゆる分野で、そのランク付けは低下しているのが実態だそうです。

その反面、日本に対する期待は以前よりも相当に伸びており、今現在建築中の地下鉄も日本企業が担っているし、ホーチミンで初めてのサイゴン川地下を通るトンネルも日本企業が建設したと言います。
そして、私が泊まっているホテルの川を挟んで反対側地域は日本企業が開発し、その発展性に対しては多くのベトナム人が期待を寄せているそうです。

今はドンコイ通りなど周辺の地域がベトナムでも最も地価の高い地域(1平米750万円だとか)だそうですが、日本企業が大量に進出して地域開発が進めば、川の反対側が絶対に地価も上昇して発展する事は間違いない!と、通訳君が言っているほどです。

日本人として誇らしいような、責任を感じるような、そんな気分になりました。

ベンタイン市場の後は休憩をするためにお土産物屋の二階に連れて行かれました。
確かにお茶はタダだし、お土産を買っても買わなくても気にしなければ良いのだから、便利と言えば便利かも知れないけれど、流石にお土産物屋で何も買わずに冷たいお茶を飲む訳に行かず、結局は妻が不要不急の土産物を買う事に・・なっちゃうんですよね。

その後、少し早めに昼食をとるためコア君が以前に務めていたベトナム料理のレストランに向かいます。
そこは金魚のデザインがトレードマークの店で、よくよく周囲を見ると宿泊先のホテルに割と近かったのです。

しかもすぐ近くのコーヒーショップの周囲には若いベトナム人女性が列をなして屯しています。誰かを待っているようなのですが・・聞けば、そのコーヒーショップは韓国系の店で今日、K-POPの歌手が店のイベントで来店する予定なんだとか。

その歌手を見るために大勢の若い女性達が入り待ちをしていたのです。
ベトナムでもK-POPの勢いは凄いんだ・・と実感した次第です。

昼食後は統一会堂を訪ねました。
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南ベトナム最後の大統領グエン・カオ・キが豪勢な生活を送っていた様子がベトナム戦争後もそのまま保管され観光地として世界から大勢の客を呼んでいるのですから、何とも統一ベトナムの幹部達は懐が深いというか、頭が良いというか。

ベトナム戦争当時、テト攻勢でベトコンの決死隊が大統領宮殿にまで攻め込んだとか、サイゴン陥落の象徴となった大統領宮殿。

その後は、フットマッサージに行きたいと妻が言うのでコア君のお勧めの店に向かいます。
実はこの店も宿泊ホテルのすぐ側にあり、入り口は狭く、「大丈夫かいな!?」と思ったのですが、実際には腕も良いし値段も手頃でした。

コア君曰く。
「この店は本当に腕が良いんですよ。だから大勢、日本人客も来てます。チップもいらないんですよ。私もマッサージに月に一回か、二回来ます」

確かに足マッサージは上手でした。

本日はノンビリと日本語ガイドさんについて貰ってホーチミンの街をブラブラするつもりでしたから、ガイドさんの予約は8時間拘束を頼んでありました。料金は一人あたり40ドルで計80ドル。
この料金が高いか安いかは利用する者の年代にもよりますし、安全性をどう担保するかの考え方にもよると思います。私としては万が一にも散歩中にひったくりにあったり、ぼられたりするなどの嫌な思いを夫婦でしないための「杖」でしたから十分満足できました。

最後に通訳をしてくれたコア君についてですが。

彼は日本で3年働いて貯めた250万円を元手にワニの養殖を帰国後に家族で始めたそうです。しかし不幸にもワニが病気にかかって全てを失ったと言います。
その時、お母さんは泣いて「お前が日本でせっかくためたお金をゼロにして・・」と嘆いたそうですが、彼は笑って「大丈夫だからお母さん。僕は男だから、またやり直すよ」と語り、レストラン勤めをした後、今の通訳の仕事をしているとか。
将来は日本語の学校を作るのが夢だそうで、しかも普通の学校とは違って、日本の文化を一緒に教える学校を作りたいと熱く語ってくれました。

「日本は凄いですよ。野菜の店に誰もいなくても、100円とか200円とか、値札のお金を箱に入れて行くじゃないですか。あんなことするのは日本だけですよ。ゴミだって捨てないし、僕の友達が日本で働いて貯めたお金30万円を財布に入れていたのを落としたんです。金曜日の夜です。それで、ガッカリして、土、日、月曜日に会社に行ってその話をしたら、会社の人が交番に届けろと言うんで、交番に行ったんです。そしたら、30万円が届いてたんですよ。こんな凄い事があるの、日本だけですよ。だから僕はそうした日本の素晴らしい文化を教えながら日本語学校をやりたいんです」

実に清々しい気分になれました。