僕がコーヒーをごちそうになったせいで電球が買えなくなってしまった。
電球を片手にコンビニのレジ前で途方に暮れる島田くん。
仕方ないので僕が電球を買う。
島田くんが僕にコーヒーをおごり、僕が島田くんに電球をおごる。
島田くんが電球を買い、僕が2人分のコーヒーを買う方がよほど建設的だ。
自分で電球を買えず気落ちした島田くんは交差点を渡ろうとする僕に
「危ない!!」
と突然大声を上げる。僕はビクッとする。車なんて来ていない。
なんか不安定さが増している。
島田くんは自分で安全を確認した上で自分のタイミングでないと
横断歩道が渡れなくなっていた。おかげで島田宅までに
いくつかある横断歩道の度に僕は叱られ、ビクッとさせられた。
僕は身の安全は守られたかもしれないが、心臓はかなり疲弊した。
それでも僕は妹よりはましだ、と思った。ついつい比べてしまう。
比べて甘く見てしまう。
僕は島田くんと妻に言った。
「薬をきちんとクリニックに行って処方してもらおうよ。
あと、こんな時だからこそ、よく人の話に耳をかたむけようよ!」
僕は何度も繰り返し、2人は何度もうなずいた。
明日、クリニックに行くと言う。
おかげで僕は少し安心した。安心してしまった。
呑気にもやれやれモードの僕は夕方、島田宅をあとにした。
午後九時頃、携帯電話が鳴る。倉持社長だ。
「また来ました。また来てさっき帰りました。」
良い服を着て若手社員に憧れられたら困ると嘆いていた島田くんは
結局2夜連続で倉持社長の会社を訪れた。