不思議なリストだ。精神病院にはいろんなものが売っている。
妹はその大半にチェックを入れていた。そりゃ金もかかる。
きっと必要なものもあるに違いなかったが絶対必要のないものも多い。
ウェハース。
この響きの単語を何年ぶりに聞いただろう。
あまりに耳なじみのご無沙汰な響きに僕は何度も口に出して繰り返す。
「ウェハース…ウェハース…ウェハース…」
ウェハース10個。
入院早々、ウェハースがそんなに必要だろうか?
病院サイドも世に数あるお菓子の中から
なぜウェハースをリストアップしたのだろう?
軽石。
この響きの単語を何年ぶりに聞いただろう。
あまりに耳なじみのご無沙汰な響きに僕はその用途を思い返す。
軽石5個。
なぜウェハースが10個で軽石は5個なのだろう?
いやそんなことはどうでもいい。入院早々、お風呂でなぜそんなに
妹は足の角質を取らなければならないのだろう?
妹の物欲の方向性もナゾだが、軽石とウェハースをリストに並べる病院も
なかなかのセンスだ。母はすぐに病院に連絡し、妹が自由にリストに
チェックが入れられないよう抗議する。
正確には妹はこの後も何度もウェハースと軽石にチェックを入れたが
それが届く事はなかった。
入院させてみて分かったが意外に病院は厳しく管理しているようで
チェックが杜撰だ。病院内のコミュニケーションが悪いのか?
素人の僕が看護士だったとしても入院したての患者に
自由に買い物させない。
そういえば、僕が入院したときも申送りがきちんと出来ておらず
苦労した事があった。