わずか三日で妹の婚約者がインド人なのにスズキツトムから

インド人なのにハンダサトシに変わった。スズキツトムからハンダサトシ。

そう書くと、たいして変わっていないようにも思える。もしこれが

ブラジル人やハワイ出身の人なら違和感がないかもしれない。

しかしインド人なのに日本人名がこうも出てくるとどことなく違和感がある。

ホテルに帰り、日本の両親に顛末を伝える。

 

「ふうん」

 

妹の行動に全くついていけていない両親は驚き機能が完全に麻痺していた。

おそろしいのは今、妹が誰と暮らしているか?だ。ホテルのオーナーによると

妹はグルガオンという場所にマンションを借り、スズキツトムとハンダサトシと

3人で暮らしているという。前婚約者と現婚約者と3人で同居…。それだけで

滑稽なテレビドラマができそうだ。ドラマならコミカルだがリアルだと

生々しくて気持ち悪い。

 

「もうあの子、2人ともやってるね。」

 

僕が敢えて触れない気持ちの悪いパートを母がほじくりだす。

大使館の一等書記官の山田さんも

 

「何故なのかは分かりませんが、どうも昨日、婚約者が変わった、と

 報告がありました。」

「以前、山田さんがインドに来る日本人には変わった人が多いって

 仰っていましたけど、妹のレベルはどうですか?」

「まあ、今までに経験したことのないタイプではあります。」

 

冷静だが率直な人だな、と思う。山田さんは打ち合わせ通り

僕がインドに来ていることは伝えず、大使館宛に家族が入金したので

そのお金を取りに来るように、と連絡してくれていた。

 

「明日、13時にくるとおっしゃっていました。」

 

山田さんは大使館の一室で説得にも協力してくれるという。

 

「ハンダサトシも来ると思います。2人で私たちに結婚式の

 招待状を渡したい、と言っていましたから。」

 

僕が来ていることを知らないのだから仕方ないが

妹の呑気さと幸せ感満載の行動にむかっ腹が立つ。