インド人なのにスズキツトム。耳なじみのある名前のインド人に僕は

驚愕したが両親は妹がインド人と結婚すると言い出したことに驚愕していた。

これが妄想なら良いが、事実なら阻止しなければならない、と両親は言う。

 

だいたいインド人なのにスズキツトムなんておかしい。例の宗教団体に

追われている人との偽装結婚話の続編ではないのか?しかし母には

 

「私は彼を愛しているの!あなたは私の幸せをなぜ祝福できない!?」

 

祝福できるわけない。ここ2ヶ月で、一生を共にしたい人がサイトウくんから

アフリカ人のカマンダへ、そして謎のインド人なのにスズキツトムと

3人も変わっている。母にはとても言えないが、これがリアルなら、その

肉体関係は生々しくて気持ち悪い。

 

大使館からも電話がある。妹に金を貸している、という。「貸した」ではなく

「貸している」というのは、それが継続していると言う意味だ。妹は3日に

一度、一等書記官の山田さんに1000円借りに来る。

 

「まあ、1000円あれば数日生活できますし、大金じゃなければ

 妙なことも出来ませんから」

 

しかし早いうち手を打ってほしいと山田さんは言う。

 

「あの…妹が結婚するって言ってるんですが…」

「ああスズキって人ですか?」

「知っているんですか!?」

「昨日妹さんが婚約者だと言って連れてきました。」

「…ど、どうですか?」

「どうとは?」

「インド人でスズキなんですか?本当に?見た目は何人ですか?」

「見た目は東洋系です。パスポートを確認しましたがインド国籍です。」

 

本当に実在した!インド人なのにスズキツトム。

兵糧攻めも効果むなしく、とうとう現地で誰かが実力を行使するしか

手はなくなった。

 

誰がインドに行くのか?

 

僕しかありえなかった。