妹がインドへ出立するや僕はある人に電話をかける。

 

「はい、藤崎です」

 

300万円の融資を受けたという妹がかって働いていた会社の社長だ。

僕は兄だと名乗り、妹の件だと告げると

 

「気になっていました」

 

藤崎さんにも心当たりがあるようだ。

 

 

藤崎さんの証言

 

「昨年から弊社で働いてもらっていました。当初は優秀で

 仕事覚えも早く任せられる人材だという認識です。しかし

 昨年末、あるプロジェクトチームを立ち上げたとき、彼女が

 チームリーダーに立候補したんですが、とはいえ経験も浅いため、

 別の女性を任命すると、その頃でしょうか?不平不満を言うように

 なりました。そのやり方というか、頻度というか、激しさというか

 そういうのがちょっと度を越していて、初めは我が社の専務が

 直属の上司なので彼女の話は専務が聞いていたんですが、泣き叫ぶ、

 怒鳴りつける、といった感じです。当然、私から見ても

 聞き入れられる内容ではありませんが、専務では埒が明かないと知ると

 直接私のところにねじ込んできます。勤務中は社内の私のオフィスに、

 それ以外は電話かメールです。それがまさに夜討ち朝駆けで、

 夜中の2時に 電話があったかと思えば朝起きるとメールが入っている。

 当然、社員の間にも話題が広がり、彼女は孤立していきます。

 春先には仕事もちょくちょく休むようになりました。

 これはフォローの必要性を感じ先月でしたか、妹さんを

 夕食にお誘いしました。すると彼女はボランティア団体を

 立ち上げたい、と言うんです。ボランティア自体は良いことだし、

 応援する。会社と二足のわらじは大変だけど頑張って!と

 私が言うと妹さんは頑張りますと握手を求めてきました。でも

 次の日メールで私のところに会社を辞めますという連絡がありました。

 青天の霹靂です。何度か電話で説得しましたが応じることはなく、

 そのうち電話にも出なくなったので、それきりです。」

 

この頃になると、僕にとって

この程度のことは驚きもなくむしろ想定内だった。