妹はボランティアのジャンルをショッピングモールのように広げている。

あちこちに手を出してしょっぱなで上手くいかないと別のジャンルに

手を出す。

エコキャップを広めると言い、アフリカに物資を送ろうとカマンダを連れ、

シングルマザーを救うと言って円満な夫婦に子どもを預からせてくれ、と頼む。

こんどはオーガニックコットンだ。

 

この時期妹は、異常な速度で「お友達」を増やす。自分のマンションの

エレベーターで見ず知らずの住人に話しかけ、さまざまなジャンルの講習会に

顔を出しては「お友達」をスカウトしていた。オーガニックコットンは私立大学の

社会人セミナーの講師が扱っていたもので講義が終わるやいなや…

 

「先生の講義、感動しました。私にもコットン売らせてください!」

 

妹はマンションの自治会にも出席し理事に立候補、

マンションのエントランスにエコキャップ回収ボックスを

設置することに成功する。調子に乗ったマンションの新理事は

 

「私の部屋をオープンルームにしますから皆さんも遊びにきてください!」

 

得体がしれないから誰も来ないだろうと高を括っていたら、「怪しい黒人が

ゾロゾロと出入りしている」と母が苦情をくらってしまった。

カマンダ一人かと思っていたら増殖している。正直恐い。

人種差別だと言われようが(実際妹は近隣住民にそう言って食って掛かった)

日本人女性が住んでいるはずの部屋にゾロゾロ謎の黒人が入って行ったら

近隣の住人は訝しむだろう。

 

誤字脱字が激しく読みにくいエコキャップ団体のブログの更新率はこの頃が

最も盛んで毎日2~3回は妹の手によって更新されている。

ごくたまに「会員」も発言していた。

 

「はじめまして、広報担当です。よろしくです。」

「エコキャップで世界を救えるかは分かりませんが頑張ります。副代表です。」

 

これだから判断に悩む。妄想から実体が出てくるのだ。ちゃんと会員がいる。

ちょうど彼女のブログを開くと新しく更新されていた。

タイトルは「犬のシャンプー」…。一体何の話だ?

 

「今日我が家の犬をシャンプーしました。やはり自然派のシャンプーは

 地球にも優しく犬の毛にも優しい。そういえば私の家族にもハゲが

 おります(笑)」

 

…(笑)っている。「私の家族にもいるハゲ」とは誰のことか?